塚森常務の不埒な恋人

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塚森常務の不埒な恋人

発売日:2026/05/15

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紫苑

久しぶりに塚森と荏原に会える。しかも、あの続編が来るとは。仕事と恋愛の境界で揺れる大人の関係性、読み解かせていただきます。

安定と揺らぎの狭間で——大人の恋が直面する新たな局面

塚森が出向先から本社に戻り三年。千葉と都内で週末恋人としての時間を重ねてきた二人には、もはやかつてのような事件や不穏な影はない。順調な関係を築き、それぞれの仕事でも成果を上げている。荏原に至っては社内で昇進を果たし、他社からの引き抜きの話さえ舞い込む。

しかし、上司として部下のミスを見過ごした瞬間、彼の中で何かが軋む。すべてを計画的にこなす塚森と自分との差を突きつけられ、同時に——そんな理想的な男を組み敷く昏い愉悦が、胸の奥で疼くのだ。

本作は「塚森専務の恋愛事情」の続篇として、恋愛だけでなく仕事を通じて浮かび上がる自己評価の歪みや、関係性の中に潜む支配と依存の均衡を描く。幸福なだけでは語れない、深く重い大人の愛の形がここにある。

紫苑

ここで「昏い愉悦」と来たか……。荏原が抱える自己肯定感の揺らぎと、それを上回る支配欲の描写。いかにも大人の関係だ。

完璧な男と、その隣で誇りと劣等の狭間を生きる男

塚森は常に余裕のあるできる男だ。仕事でも恋愛でも主導権を握り、荏原を包み込むように導く。しかしその完璧さこそが、荏原にとっては時に息苦しく、また同時に抗いたくなる相手でもある。

一方の荏原は、昇進しキャリアを積みながらも、上司としての未熟さや塚森との実力差に苛まれる。特に部下のミスを見落とした経験は、彼の自尊心を大きく揺さぶる要素だ。ところが興味深いのは、その悔しさと同時に「できる男である塚森を組み敷く」という倒錯的な愉悦を感じてしまう点である。

この関係性は、単なる年の差恋愛やオフィスラブに留まらない。優劣の逆転、支配と服従の流動性、そして互いを高め合いながらも傷つけ合う危うさが同居している。荏原の中で劣等感と支配欲がせめぎ合うほどに、二人の絆はより深く、より濃密なものへと変質していくのだ。

紫苑

仕事ができる男同士の恋だからこそ、ここまで深い葛藤が描ける。単なる甘いだけの話じゃないからこそ、続編に価値がある。

Q. 荏原が部下のミスを見落としたことで、塚森との関係にどんな変化が生まれるのか?

A. 荏原は自身の上司としての未熟さと塚森との実力差を痛感する。同時に、そんな完璧な塚森を自分の手で組み敷くことへの昏い愉悦を覚え始める。この出来事を契機に、二人の関係には支配と被支配のダイナミズムがより鮮明に浮かび上がり、これまで以上に複雑で濃密なものへと発展していく可能性が示唆される。

Q. 週末恋人関係からさらに踏み込んだ展開はあるのか?

A. あらすじの範囲では、荏原が塚森との差に苛まれながらも、その状況に快感を見出すという心理描写が中心となる。具体的な関係性の進展は明示されていないが、これまで順調だった関係に新たな緊張が生まれることで、二人の絆が試される局面を迎えることが予想される。

Q. 本作を読むにあたって、前作の知識は必須か?

A. 本作は「塚森専務の恋愛事情」の続篇として位置づけられている。あらすじからも、二人の出会いやこれまでの経緯を前提とした関係性が描かれていることがわかる。したがって、前作を読んでいない読者には二人の背景や関係の深まりを十分に理解できない可能性がある。まずは前作を読んでから本作に臨むことを推奨する。

紫苑

続編ものでここまで深い心理描写を仕込めるのは、作者のキャラクター理解と構成力の賜物。塚森と荏原がこれからどこへ向かうのか、目が離せない。これは間違いなく、私の中で殿堂入りのシリーズになる予感がする。
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