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発売日:2026/05/25
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大人の事情が絡み合う、五つの”関係性の重さ”——『GUSHmaniaEX』が描く恋愛の深度
今月もやってきた、待望のアンソロジー『GUSHmaniaEX』。今号は特に「関係性が構築されるプロセス」に重きを置いた作品が揃い、読み応えのある一冊となっている。コンプレックスやトラウマ、そして社会的な立場の違い――誰もが抱える「弱さ」を起点に、恋愛がどう加速し、どう変質していくのか。その構造を丹念に追える構成だ。
野萩あき氏「弱いトコロもまるごと全部」は、コンプレックスを抱える元上司と対人関係が苦手なリーマンの、一夜をきっかけに加速するノンケ同士の恋。ここで重要なのは「ノンケ同士」という設定だ。経験値のない者同士が、手探りで身体の疼きと心の痺れを重ねていく。その不器用さが、むしろ関係性の純度を高めている。
一方、たまきつむぐ氏「堕情」はDV彼氏と優しい後輩の間で揺れるNTR系サスペンス。恋愛のスリルをサスペンスの文法で描く手腕は見事で、読者は「誰を信じるべきか」という緊張感に最後まで引きずられる。山葵山わい氏「完璧上司の悪い癖」は一転、押しに弱い部下と実は恋愛体質なスマート上司の押しかけラブ。エロティシズムの濃度が高い一方で、上司の「恋愛体質」という設定がコミカルなバランスを生んでいる。
ぽぽたぱぽた氏「恋に事件は憑きものです」は、エリート後輩×幽霊に憑かれやすい先輩刑事のドタバタエロコメディ。幽霊を祓う手段が「発情」というのが、なんともBL的な発想でツボを押さえている。最後にwagayo氏「清水くんのみずたまり」は、ドS優等生と隠れMヤンキーの学園ラブコメ。限界ギリギリの攻防が、しずくしたたるような官能性を纏っている。
キャラクターの魅力と関係性——”弱さ”と”強引さ”の化学反応
本作に登場するキャラクターたちには、共通する魅力がある。それは「完全な人間ではない」という点だ。野萩あき氏の元上司はコンプレックスを抱え、リーマンは対人関係が苦手。山葵山わい氏のスマート上司は恋愛体質で押しが強いが、それゆえに人間臭い。キャラクターが持つ「欠損」こそが、関係性を動かす原動力となっている。
特に興味深いのは、ぽぽたぱぽた氏の先輩刑事と後輩の関係性だ。先輩は幽霊に憑かれやすく、後輩はエリート。この非対称性が、物語の核心である「発情して幽霊を祓う」という荒唐無稽な設定にリアリティを与えている。後輩が先輩の弱みを握る構図は一見支配的に見えるが、同時に先輩を守る存在としても機能しており、その二面性が作品の深みを増している。
また、wagayo氏のドS優等生と隠れMヤンキーの関係性は、単なるSとMの構図に留まらない。優等生がなぜヤンキーに執着するのか、ヤンキーはなぜ隠れMなのか——その背景に想像を巡らせると、学園モノの枠を超えた感情の機微が浮かび上がる。そしてたまきつむぐ氏のDV彼氏と優しい後輩の間で揺れる主人公は、まさに「選択」が問われる立場。読者は誰に感情移入するかで、作品の読み方が変わる。
「一夜をきっかけに加速する」——野萩あき氏の描くノンケ同士の恋愛力学
「弱いトコロもまるごと全部」の最大の魅力は、ノンケ同士が一夜を機にどう関係性を変容させるか、そのプロセスにある。コンプレックスを抱える元上司は、かつての立場から「弱さ」を隠すことに慣れている。一方、対人関係が苦手なリーマンは、そもそも他者と深く関わることに躊躇がある。そんな二人が身体の接触を通じて、互いの弱い部分を曝け出していく。一夜が「きっかけ」であり、その後どう加速するのか——あらすじから読み取れるのは、関係性のスピード感と同時に、慎重さも同居している点だ。ノンケであるがゆえの戸惑いや、社会的な立場の変化も、物語に厚みを与えているに違いない。
「発情する身体から幽霊を祓う」——ぽぽたぱぽた氏の奇想天外な設定と人間関係の妙
「恋に事件は憑きものです」の「発情して幽霊を祓う」という設定は、BL作品ならではの遊び心と、関係性の深化を同時に実現している。エリート後輩と幽霊に憑かれやすい先輩刑事——この凸凹コンビが、事件を通じてどう絆を深めるのか。幽霊を祓うために発情するという行為自体が、二人の距離感を強制的に縮める装置として機能する。しかし、あらすじが「ドタバタエロコメディ」と謳うように、重くなりすぎないバランス感覚が光る。エリート後輩がどこまで能動的に関与するのか、先輩刑事の困惑と受容の過程が楽しみな一作だ。
