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発売日:2026/05/29
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声フェチという秘密が紡ぐ、大人の恋の駆け引き
人事本部に勤める小野里未久の武器は、凛として美しいと言われる「声」。しかし密かに憧れる上司・堤遼輔にだけは嫌われているようで、彼に避けられるたびに傷ついていました。
ところがある夜、堤が落としたイヤホンを拾い上げると、そこから流れていたのは自分の声。実は彼は重度の声フェチで、未久の声が好きすぎて避けてしまう「好き避け」をしていたのです。
未久はある名案を思いつきます——彼とお付き合いすれば声に慣れて避けなくなるのではないか、と。こうして交際が始まりますが、大好きな未久の声に堤が理性を保てるはずもありません。
この設定、単なる「フェチ」で終わらせないところが大人の恋愛小説の醍醐味。声という聴覚だけの感覚が、二人の距離を縮めるどころか、むしろ官能的な緊張感を生み出しているのです。
クールで冷徹な上司の、知られざる熱情
堤遼輔は普段から仕事に厳しい冷徹な上司。彼の未久に対する態度は、一見するとただの嫌悪か避けているようにしか見えません。しかしその裏には、自分の声フェチという性癖が暴れるのを必死に抑えているという事情がありました。
声が好きすぎて避ける——この矛盾した行動こそが、彼の秘めたる熱情の証。読者は「嫌ってなんていません。むしろ好きだから——」という本音を知った瞬間、それまでの彼のそっけない態度がすべて逆転して映るのです。
未久の側もまた、ただ傷ついているだけではありません。彼の秘密を知った後、自ら「交際すれば慣れる」というロジックで提案するのですから、なかなかしたたか。大人の恋愛ならではの計算と、その計算を超えてしまう感情の波が描かれていくのでしょう。
心に刺さった一文——「好き」を避ける矛盾
未久の声が好きすぎて、避けてしまう「好き避け」をしていたらしい堤。
この一文は、物語全体の核をシンプルに凝縮しています。堤が未久を避けていた理由が「嫌いだから」ではなく「好きすぎるから」と明かされる瞬間、それまでのすべてのシーンが違う色に染まる感覚。
「好き避け」という言葉自体は若い世代でも使われるものですが、ここでは大人の上司が自分の性癖に振り回される姿として描かれているのが新鮮。理性で抑えようとすればするほど、声への執着が暴走する堤の姿が想像できます。
この台詞の魅力は、読者に「堤の視点」を一瞬で与える力。今までは未久の傷ついた目線で見ていた彼の態度が、すべて「好きだから」という理由に変換される。そのギャップに心臓を掴まれるような衝撃を受けるのです。
