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発売日:2026/05/18
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眠るたびに堕ちていく、背徳の蜜月
「神託」という絶対の命が、誇り高き帝国の皇女と新興国の王太子を結婚させる。エステファニアにとって、それは到底受け入れがたい現実でした。世界に名だたる帝国の皇女としての矜持が、まだ歴史も浅い王家の男性に屈することを許さなかったのです。
彼女が差し出した条件は「白き結婚」。一切の肌の触れ合いを拒絶する、形だけの結婚生活。夫であるシモンは、その要求を驚くほどあっさりと受け入れます。あまりに無防備な夫の態度に、エステファニアは胸を撫で下ろす一方で、どこか居心地の悪さも感じていました。
しかし夜が訪れるたび、彼女は淫らな夢に苛まれます。それはまるで現実のような熱を帯びていて、目覚めた後の鼓動は収まることを知りません。この甘美な悪夢の正体こそ、夫シモンによる「卑劣な罠」――つまり意識のあるうちは決して許さないだろう妻を、無防備な睡眠中にだけ味わうという、歪みきった愛情の裏返しだったのです。
「身に覚えのない妊娠」という衝撃的な事実が、この嘘で固められた平穏を打ち砕きます。すべてはシモンの掌の上。エステファニアはいつからこの執着の網に絡め取られていたのか、読者は彼女とともに、じわじわと追い詰められていく感覚を味わうことになるでしょう。
誇り高き花と、牙を隠した獣
エステファニアは帝国の皇女として、強い自負心と責任感を持って育ってきました。だからこそ、自分より格下と見なした男性に組み敷かれる未来など、想像すらしたくなかったのでしょう。彼女の「白き結婚」の要求は、自己防衛であると同時に、自身の尊厳を守るための最後の砦でした。
そんな彼女に対して、夫シモンは驚くほど従順です。しかしその従順さの裏には、獲物をじっくりと待つ肉食獣のような冷徹な計算がありました。彼は決してエステファニアを力ずくで支配しようとはしません。むしろ、彼女の誇りを傷つけないように、細心の注意を払いながら罠を仕掛けているのです。
この二人の関係性は、まさに「表向きの優しい支配」と「無自覚な服従」のせめぎ合い。エステファニアは自分が少しずつシモンの世界に飲み込まれていることに気づかないまま、彼の作った偽りの平穏に安堵してしまいます。シモンの異常なまでの執着心と、それを一切表に出さない腹黒さ。そして眠っている間にだけ暴かれる、彼の熱くて貪欲な一面。このギャップがもう、たまらないんです。
あなたはもう、僕のものだ
この一文、一見するとよくあるTLのキャッチコピーに見えるかもしれません。しかし、この作品を知った後に読むと、その重みがまったく違って感じられます。「身に覚えのない妊娠」という言葉に、エステファニアの混乱と恐怖、そして何よりシモンの計画的で抗いようのない執着が凝縮されているからです。
彼女にとっては「身に覚えがない」、けれどシモンにとっては「毎夜の行為の当然の結果」。この認識の乖離こそが、この物語の背徳感を何倍にも引き立てています。読者はエステファニアとともに真実を知るまでやきもきし、そして知った後には、シモンの歪んだ独占欲に戦慄しながらも、なぜか胸がときめいてしまう。そんな甘くて苦い感覚を、この一行は約束してくれるのです。
