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諦めの果てに選んだ「虫除け」という偽りの恋ーーその痛みが凄い
本作は、幼馴染のハルに秘めた想いを寄せる巴を主人公に描かれる、こじらせ片想いラブストーリーです。ゲイである自分はハルに選ばれないと最初から諦め、ハルに群がる軽い女たちを遠ざける“虫除け”として、自ら偽りの恋を繰り返してきた巴。そんな彼の姿が、冒頭のあらすじだけで既に切なさの塊です。
「せめて友達として、隣にいられるように」と願いながら、ハルの隣を守り続けてきた巴。しかし、ハルから突然「好きな子がいる」と打ち明けられてしまい、その胸は容赦なく掻き乱されます。ハルに特別な誰かができるかもしれないという絶望が、彼の中で静かに、しかし確実に何かを崩していくーーそんな構成になっています。
この作品の魅力は何と言っても、巴の「ハルが誰かと幸せになってくれたら、それでいい」という自己犠牲的な願いと、それでも隣にいたいと願う矛盾した感情の描写です。守り続けてきた境界線が崩れ始める瞬間を、ぜひその目で確かめてほしいと思います。
「それでいい」ーーこの一文に込められた諦念の深さよ
この冒頭の一文が、もう全てを語っています。巴のハルへの想いの深さと、同時に「自分がその隣に立てない」という絶望的な諦念。本当に「それでいい」と思っているのなら、どうしてこんなにも胸が締めつけられるのでしょうか。愛する人の幸せを願いながら、その幸せの中に自分がいないことを受け入れようとする。この不器用すぎる健気さが、読者の胸を容赦なく抉ってきます。
ハルに特別な誰かができるかもしれないという事実に、巴の胸が「容赦なくかき乱されて」いくーーその描写に、この作品の持つ切なさの本質が凝縮されています。自分の気持ちに蓋をしてきた人間が、どうしても蓋をしきれなくなる瞬間。その境界線が静かに崩れ始める様を、この一文から強く感じ取れるのです。
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