📖 らぶカル BL漫画
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妖精の足を引っ張る、人間らしいスケベ心
とある町に現れたのは、長く美しい金髪をなびかせたエルフのエルフィス。人間社会に初めて足を踏み入れた彼は、魔法をほとんど使えないものの魔力を持つデリクという青年に目をつける。報酬と引き換えにその魔力を求めるが…というのが本作『トラップエルフ』の導入だ。一見するとファンタジー×お仕事の出会いのように見えるが、そこはBLエロ&コメディ。エルフの「人間に警戒や侮蔑の感情がある」という設定が、どう転ぶのか。冒険者が集う酒場か、あるいはデリクの作業場か。あらすじだけでも、二人の間に流れる空気が立ち込めてくる。
特に目を引くのは「モブ」「淫紋」「乳首責め」といったキーワード群だ。エルフィスの持つ「嘘は見抜けない」という純真さが、逆に人間社会のスケベ心に無防備に晒される仕掛けになっている。デリクは「金と女が好きなノンケ」と明かされているから、エルフと関わるうちに自覚しない感情が芽生えるのか、それとも何か別の思惑があるのか。46ページというコンパクトなボリュームに、どれだけの密度でこのテーマが詰め込まれているのか、想像しただけでページをめくる指が早くなる。
知識と無垢のすれ違いが生む、歪な引力
エルフィス(受・26歳(0歳))は、理由があって人間の世界に来たエルフ。基本魔法は得意な種族であるはずが、故郷と違って思うように扱えず難儀している。その彼が目をつけたのが、開錠の腕を生業にするデリク(攻・25歳)。家庭からダンジョンまであらゆる鍵を開ける技術を持ち、気ままに生きてきた青年だ。ここで重要なのが「0歳」という表記だ。おそらく初めての経験を示唆しているのだろう。高慢な態度の裏で、人間の思惑に疎いエルフィスが無防備に差し出す身体。対するデリクは「金と女が好きなノンケ」と書かれている以上、エルフ相手にどう反応するのか。
逆身長差、という点も見逃せない。長身長髪のエルフィスと、身長の低さを気にしているデリク。体格差が上下関係を逆転させる構図が、そのまま関係性の歪さを表現している。相手を侮るエルフほど背が高く、実利的に生きる人間の方が小柄。この逆転が、コメディとして機能するのか、それとも支配と被支配の関係に発展するのか。あらすじに「モブ姦」とあるからには、外部の人間が介入するスパイスも効いているようだ。エルフィスがエルフゆえのプライドと無知の狭間で、デリクの手にどう堕ちていくのか。伏線の仕掛け方次第で、単なるエロ漫画を超えた重厚な関係性が描けるポテンシャルを感じる。
この一文が、すべての始まりを予感させる
報酬を払う代わりにその魔力を求めるが―
この引用が持つ引力は、単なる依頼関係を超えた「契約」の匂いだ。エルフィスは「報酬を払う代わりに魔力を求める」という合理的な取引を持ちかける。しかし、魔法が使えないデリクがなぜ魔力を持っているのか。その説明がなされていないからこそ、後の展開に期待が膨らむ。
しかも「求めるが―」と続きが途切れている。この破調が、取引がスムーズに進まないこと、つまりエルフィスの予想しない方向へ話が転がることを暗示している。人間に警戒心を持ちながらも、嘘が見抜けないエルフィス。一方のデリクは「気ままに生きてる青年」で、最初から搦め手を使ってくるタイプではないはず。だが「金と女が好き」という人間らしい欲望を持っている。この欲望が、エルフの無垢な申し出にどう反応するのか。報酬以上のものを要求するのか、それとも逆にエルフの方を嵌めるのか。一文でここまで読者の想像力を掻き立てられるセンスに、プロの仕事を感じる。