📖 らぶカル BL漫画
発売日: 2026/09/23 | 著者: 安滋かづ | サークル: 3つ数えろ | 35P
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待って。酒の力を借りて、少しずつ相手の体を作り変えていくって……その発想に至るまでの心理プロセス、めちゃくちゃ気になるんですけど。これ研究対象として完璧では?
「思い出せない」を起点にした、静かなる侵食の物語
本作は、子供の頃に7つ年上の近所のお兄さん・八田誉に面倒を見てもらっていた漫画家・佐伯類が、大人になった今もその誉への片想いを続けているという物語です。類は誉の職場の同僚である女性や、自身の作品キャラにまで密かに嫉妬を募らせており、執着の深さが随所に滲みます。
物語の鍵となるのは、二人が昔交わした「とある約束」です。類はその約束を覚えているのに、誉は思い出せない。この記憶の非対称性が、類の焦りと不安を加速させます。相手が忘れているという事実は、片想いにおいて最も残酷な形の孤独かもしれません。
そして類は酒の力を借りて、誉の体を「女を抱く気が起きない体」に少しずつ作り変えるという行動に出ます。ここで重要なのは、これが衝動的な暴力ではなく「少しずつ」という点です。時間をかけて侵食していく手法には、類の粘着質な執念と、壊してしまいたいのに壊せない繊細さが同居しています。35ページの前編として、この関係性がどこへ向かうのか、その入口が丁寧に描かれています。
「女を抱く気が起きない体に作り変える」って一文だけで、もう類の思考回路が見えるよね。誉を拒絶するんじゃなくて、誉の中から「他の誰か」を排除していく方向にベクトルが向いてる。これ、執着の質がかなり特異ですよ……。
見どころ
- 記憶の非対称性が生む緊張感:類は約束を覚えているが誉は忘れている。この一方通行の記憶が、類の焦燥と行動原理の土台になっています。相手が覚えていないからこそ、類は「思い出させたい」ではなく「体に刻みつけたい」という方向へ逸れていく。その心理の歪みが丁寧に描かれています。
- 嫉妬の多層構造:誉の職場の同僚女性への嫉妬と、自分の作品キャラへの嫉妬が併存している点が興味深い。前者は現実の脅威、後者は虚構への転移。類の中で「誉を奪いうるもの」への警戒が、現実と創作の境界を越えて浸食している様子が窺えます。
- 「少しずつ」という手法の残酷さ:酒の力を借りるという行為自体が、類の理性と衝動の境界の曖昧さを示しています。一度にすべてを奪うのではなく、段階的に誉の体と認識を書き換えていく。その遅効性が、前編という形式と相まって、読後にじわじわと残響を残す構造になっています。
こんな人におすすめ
- ✅ 相手を「自分のものにする」のではなく「他の誰のものでもなくする」方向に執着が向かうタイプの関係性を読みたい方
- ✅ 記憶や約束の非対称性が、キャラクターの行動と心理にどう影響するかを丁寧に追いたい方
- ✅ 年下からの一方的な想いが、静かに、しかし確実に相手を侵食していくプロセスを前編から味わいたい方
いや、これ……前編で35ページって、続き絶対読むじゃないですか。類の「少しずつ作り変える」がどこまで進むのか、誉が約束を思い出す瞬間が来るのか、そもそも誉は類の感情に気づいているのか。構造的に見ると、前編でここまで執着の質を提示してくるなら、後編で誉側の視点がどう動くかが鍵になるはずで……あ、すみません、熱くなりました。でも、酒の力って言いながら完全に計画的なんですよ、これ。そこがいい。




