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「人ならざるものに愛される」—姿なき執着と百年の一途が織りなす、二つの異類愛情譚
本作は、二編の短編で構成された人外×人間のボーイズラブ小説です。第一話「この部屋には俺を侵す幽霊がいる」では、引越し先の部屋で見えない存在に毎晩体を弄られる大学生・瑛人の姿が描かれます。
当初は恐怖を抱いていた彼も、次第にその強烈な快感に依存し、自ら求めるようになる。そんなある夜、苦手な同級生・長沼が無理やり部屋に上がり込んできた瞬間、見えない同居人の様子が一変。姿なき存在の嫉妬と執着が暴走し始めるのです。
第二話「百年に一度の儀式で守り神様と契りを交わす」では、村の守り神・濡羽様に伴侶として捧げられた青年・信太朗の物語。儀式の夜、洞穴に現れたのは白布で顔を隠した角を持つ巨大な神でした。濡羽様と契りを交わした信太朗は、翌朝神の屋敷に連れていかれ、人ならざる者に惹かれていく青年の異類婚姻譚が紡がれます。
見どころ
- 「見えない存在の執着」がもたらす独特の緊張感:幽霊編では、相手の姿が視認できないからこそ、触れられる感触や空気の変化、瑛人の反応だけで心情が伝わる。長沼という外部要素が介入した瞬間の、見えない相手の怒りと独占欲が文章だけでこれほど鮮明に浮かび上がるのは、作者の描く心理描写の精度の高さによるものです。
- 壮大な世界観と一途な愛の対比:守り神編では、百年に一度の儀式という重厚な設定の中で、濡羽様の信太朗に対する一途な想いが際立つ。神としての威厳と、初めて受け入れた伴侶への惜しみない優しさ。体格差も相まって、読者はその大きな腕の中に包み込まれるような感覚を覚えます。
- 官能性を文学的に昇華する比喩表現:直接的な描写を避けつつ、身体の反応や空気の震えで官能性を伝える手法が秀逸です。特に幽霊編の「見えない手」の動きや、守り神編の儀式の夜の描写は、比喩の選び方が絶妙で、読者の想像力を最大限に刺激しながらも、決して下品に堕ちない文章の格調が魅力です。
こんな人におすすめ
- ✅ 幽霊や神など、人間を超越した存在に愛されるファンタジー性を求める方
- ✅ 姿が見えない相手に執着される、独占欲の強い関係性に心を掴まれる方
- ✅ 短編でテンポ良く、確かなハッピーエンドの異類婚姻譚を味わいたい方
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