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『else[1]』:叶わない恋の分岐点が描く、静かな均衡とその崩壊
同人サークル「ゆずりつif(love)」から発表された本作は、本編とは異なる世界線、すなわち「もう一つの分岐点」での物語です。あらすじにある通り、主人公・川手は、ゆずに対して一方通行の恋心を抱いています。彼が幸せならそれでいいと諦めていたその恋は、しかしある日を境に均衡を崩し始めます。
本編で描かれる律とゆずの関係を背景に、川手の視点から紡がれる本作は、1話から3話まではシリアスなトーンで進行。律はほとんど登場せず、あくまで川手の内面と、秘めた感情に焦点が当てられています。全年齢仕様で18ページ、短編集として今後はギャグ多めになる予定ですが、まずはこの重く切ない序章を味わうことができる作品です。
片思いの構造と、均衡を崩す引き金
本作の最大の魅力は、「好きな人に好きな人がいる」という三角関係の構造を、当事者の一人である川手の視点から描いている点です。彼は自身の恋を「彼が幸せならそれでいい」と諦め、静かに均衡を保っていました。しかし、その均衡が崩れ落ちる「ある日」がどのような出来事なのか、あらすじからは具体的に読み取れません。だからこそ、その瞬間の描写に注目が集まります。
また、タイトルの『else[1]』や「commit;」といったプログラミング用語を連想させる表記は、分岐点や選択の重みを象徴しているのでしょう。物語のテーマとして、諦めと執着の境界線がどのように描かれるのか、その繊細な心理描写が読者の胸を打つことは間違いありません。
シリアスな導入から広がる短編集の可能性
1話から3話までのシリアスな展開は、川手の一方通行の恋を深く掘り下げる重要なパートです。あらすじでは「ゆずりつif(love)」の登場人物を使用しながらも、単体で読めるよう配慮されています。そのため、本編を知らない読者でも、川手の心情に寄り添いながら物語に入り込めるでしょう。
今後はギャグ多めの短編集になるという予告も、この作品の魅力をさらに引き立てます。重いシリアスから一転して軽快なギャグへと舵を切る構成は、作者のテンポ感や緩急の付け方に対するこだわりを感じさせます。シリアスパートで積み上げられた感情を、どのようにギャグで昇華していくのか。このコントラストが、作品全体に独特の味わいを与えているのです。
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