else[1]

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else[1]

発売日: 2026/07/17 | 著者: 田崎ぎん | サークル: 風想工房 | 22P

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紫苑

「好きな人に好きな人がいる」という前提、もうここだけで関係性の重みが滲んでいますね。

『else[1]』:叶わない恋の分岐点が描く、静かな均衡とその崩壊

同人サークル「ゆずりつif(love)」から発表された本作は、本編とは異なる世界線、すなわち「もう一つの分岐点」での物語です。あらすじにある通り、主人公・川手は、ゆずに対して一方通行の恋心を抱いています。彼が幸せならそれでいいと諦めていたその恋は、しかしある日を境に均衡を崩し始めます。

本編で描かれる律とゆずの関係を背景に、川手の視点から紡がれる本作は、1話から3話まではシリアスなトーンで進行。律はほとんど登場せず、あくまで川手の内面と、秘めた感情に焦点が当てられています。全年齢仕様で18ページ、短編集として今後はギャグ多めになる予定ですが、まずはこの重く切ない序章を味わうことができる作品です。

紫苑

「commit;」にたどり着けなかった世界線。この一文だけで、どれだけの伏線と喪失感が詰まっているか想像してしまいます。

片思いの構造と、均衡を崩す引き金

本作の最大の魅力は、「好きな人に好きな人がいる」という三角関係の構造を、当事者の一人である川手の視点から描いている点です。彼は自身の恋を「彼が幸せならそれでいい」と諦め、静かに均衡を保っていました。しかし、その均衡が崩れ落ちる「ある日」がどのような出来事なのか、あらすじからは具体的に読み取れません。だからこそ、その瞬間の描写に注目が集まります。

また、タイトルの『else[1]』や「commit;」といったプログラミング用語を連想させる表記は、分岐点や選択の重みを象徴しているのでしょう。物語のテーマとして、諦めと執着の境界線がどのように描かれるのか、その繊細な心理描写が読者の胸を打つことは間違いありません。

シリアスな導入から広がる短編集の可能性

1話から3話までのシリアスな展開は、川手の一方通行の恋を深く掘り下げる重要なパートです。あらすじでは「ゆずりつif(love)」の登場人物を使用しながらも、単体で読めるよう配慮されています。そのため、本編を知らない読者でも、川手の心情に寄り添いながら物語に入り込めるでしょう。

今後はギャグ多めの短編集になるという予告も、この作品の魅力をさらに引き立てます。重いシリアスから一転して軽快なギャグへと舵を切る構成は、作者のテンポ感や緩急の付け方に対するこだわりを感じさせます。シリアスパートで積み上げられた感情を、どのようにギャグで昇華していくのか。このコントラストが、作品全体に独特の味わいを与えているのです。

紫苑

私はこの「叶わない恋」の描き方に、どうしても心を掴まれてしまいます。諦めていた均衡が崩れる瞬間、川手の内面に何が起こるのか。まだ読めていないのに、もうそのカタルシスが待ち遠しくて仕方ありません。シリアスからギャグへと緩急をつける作者の手腕にも、大きな期待を寄せています。

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