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▶ 『字が読めるだけの人と嘱託を切った男が公文書複製の一手になり閉庁後の複製室で原本ごと写し取られ夫のいる身体に孕むほど注ぎ込まれる文書課長の話♡♡♡』の試し読み・お得なセール状況をチェック!
「字が読めるだけの人」から始まった、六年越しの写し返し
本作は、市の文書課長・芳川史香(34)と、古文書の複製師・都留彰久(37)の再会を描くTL小説です。二人の間には、六年前の出来事があります。当時28歳で市史編纂室の主査だった史香は、予算の組み替えを通すため、古文書の複製を担っていた都留の嘱託を打ち切りました。その場で本人に向けて放ったのが、『字が読めるだけの人』という一言です。
時が流れ、市の文書が国の指定を受けることになります。触れば崩れる一級文書を、寸法も料紙も墨の濃さもそのままに写せる者は限られており、それができるのは、いまや全国から呼ばれる複製師になった都留しかいません。文書課長となった史香は、立会人として閉庁後の複製室に通うことになります。切った側と切られた側が、立場を変えて同じ台を挟む。この構図が本作の軸です。
原本と写しの境が、立会う側と写される側の境も薄くしていく
複製室での描写は、墨と膠と湿した紙の匂い、虫の食った一行と、まだ何も書かれていない同じ寸法の料紙。台の上に並ぶ二枚を前にして、都留は「どちらが原本か、言ってください」と問いかけてきます。伏せて写し、透かし、なぞる。写しが一枚進むごとに、どちらが原本でどちらが写しか分からなくなっていく——というのが、本作の中心にある感覚です。
この「分からなくなる」は、紙の上だけの話ではありません。立会う側と写される側の境も、同じように薄くなっていきます。夫の待つ家へ帰る道はずっと開いたままなのに、毛氈を敷いた台に背を預けさせられ、原本を写し取るのと同じ手つきで、夫のいる身体に注ぎ込まれてしまう。背徳を、逃げ道の存在によって際立たせている構成です。
都留彰久という男——敬語のまま写し返してくる執着型
都留は37歳。六年前に嘱託を切られた当時は31歳でした。現在は崩れかけた公文書を写せる唯一の一手として、全国から呼ばれる立場にあります。作品紹介では「敬語のまま、六年前の一言を一字ずつ写し返してくる執着型」と説明されています。感情をぶつけるのではなく、丁寧な言葉のまま、過去の一言を正確に返してくる。この静かな返し方が、再会ものとしての本作の味になっています。
史香は34歳の既婚者で、夫は高校の教員です。職場では文書課長として起案も決裁も動かす立場にあり、それが複製室では立会人という立場に置かれます。仕事上の上下と、部屋の中での関係は同じものではありません。その二つが重なっていく過程を、史香の視点から追う構成になっています。
こんな人に合う一冊
- 立場が入れ替わる再会ものを読みたい人。切った側と切られた側が、六年後に別の立場で向き合う構図が中心にあります。
- 声を荒げない執着が好みの人。都留の敬語は崩れず、その丁寧さのまま過去を返してくる設定です。
- 既婚者のヒロインと、逃げ道のある背徳を読みたい人。夫の待つ家へ帰る道が開いたまま、という状況が物語の圧になっています。
- 職場と部屋で関係が変わる緊張感を味わいたい人。文書課長としての立場と、複製室での立会人という立場が重なっていきます。
全78ページ。R18作品で、登場人物はすべて成人しています。公文書を扱う職場での立場逆転と不貞を題材としたフィクションであることも明記されています。墨と紙の匂いのする部屋で、原本と写しの区別がつかなくなっていく感覚を、史香の視点で追いたい人に向いた一冊です。
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