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すれ違う視線の先に――身代わりから紡がれる恋の均衡
本作は、商業BL『ドSティックに抱いて』の番外編同人誌です。恋愛経験の乏しい地味眼鏡の社会人・準一朗が、高校時代から片想いしていた克彦に瓜二つのドS紳士・那智と出会うところから物語は始まります。
一夜の相手から恋人同士となったものの、準一朗は「僕、元々代わりでしたしね」と、自身の存在を半信半疑で受け止めています。そんな不安定な関係に、かつての片想いの相手・克彦が突然現れることで、二人の均衡は脆くも揺らぎ始めます。
那智は難なくその場を切り抜けますが、その後は会えない日が続き、克彦と過ごす準一朗を待ち続けることになります。ドSな言動と優しげな笑顔のギャップに翻弄される準一朗。その一方で、那智自身もまた「俺、那智は会わなくても辛くないんだと思ってた」と、自身の感情に気づいていくのです。
那智の執着と準の迷走――表面のドSが隠す本音
主人公・準一朗は、29歳にして初めてを捧げた那智に、いまだに恋愛の実感を持てずにいます。地味で控えめな性格ゆえに「代わり」という立場に甘んじ、那智の優しさをどこか疑いながらも、そのドSな言動に翻弄される様子が描かれています。
一方の那智は、紳士的な振る舞いの裏に強烈な独占欲を秘めたキャラクターです。克彦の突然の訪問にも動じず、その場を冷静に切り抜けますが、その後は準一朗を待ち続けるという受動的な姿勢を見せます。これが「ドS紳士」という表面上のイメージと、内面の脆さの絶妙なコントラストを生んでいます。
二人の関係性は、準一朗が那智に「代わり」としての不安を抱える一方、那智もまた準一朗の心の距離に気づかないまま、すれ違いが積み重なっていく構造です。あらすじから読み取れるのは、このすれ違いがどのように解消され、真実の絆へと変わっていくのか、という大きな伏線です。
心に刺さった一文を辿る――「代わり」という呪縛と「辛くない」という嘘
「俺、那智は会わなくても辛くないんだと思ってた」
この二つの台詞は、本作のテーマを象徴しています。準一朗の「代わりでしたしね」には、自己肯定感の低さと、与えられた愛を素直に受け取れない諦念が込められています。一方、那智の「辛くないんだと思ってた」は、ドSな外見に隠された甘やかで一途な本心を露わにしています。
両者の言葉が交錯することで、読者は二人のすれ違いが単なる誤解ではなく、それぞれの過去や性格に根ざした深い溝であることを理解します。そして、この溝を埋めるためにどんなドラマが待っているのか、想像するだけで胸が高鳴ります。
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