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過去に戻った令嬢が選ぶ、もう一つの未来
『婚約者選定の儀』を経て王太子と結婚したシャーロットは、愛していた夫に命を奪われる。何が起きているのか理解する間もなく訪れる唐突な死――その瞬間から心臓を掴まれる。物語は彼女が自室で目覚める場面へと、一気に巻き戻っていくのです。
死の直後、目覚めたのは四年前の自室。前世の記憶を持ったまま、今度こそ幸せな人生を送りたいと決意した彼女の選択は、自分を殺した王太子との接点を避けること。社交界デビューの日、彼と踊らない――その決意が運命の歯車を大きく動かすきっかけになります。
当日に声をかけてきたのは王弟殿下グレン。彼と踊った翌日、縁談を申し込まれる。「は、はい。わたくし、この縁談をお受けします!」――前世でも誠実だったグレンの人柄を信頼したシャーロットは、婚約者となることを即決するのです。
一方で、グレンもまたシャーロットの人生について何か知っている様子。どうやら彼の側にも秘密があるようです。死に戻りという異質な体験は、二人の運命をどのように絡めていくのか。すべては彼女が「はい」と口にした瞬間から、確実に動き出している。
誠実な人柄が運命を変える――心に残る「はい」
この「はい」は、単なる縁談の承諾ではない。前世で愛する夫に殺されたシャーロットが、自分の意志で未来を選び直す宣言の言葉です。相手は自分を殺した王太子ではなく、誠実だと知るグレン。だからこそ、この短い返事には迷いがなく、読んでいて清々しささえ感じるのです。
時間にすれば、たった翌日に出した結論だというのに、彼女の中には前世からの確かな信頼が積み上がっている。その重みがこの一言に凝縮されているからこそ、胸に響くのでしょう。運命に翻弄されてきた令嬢が、初めて自分の意思で掴み取る幸福――その決意の音が、読む者の心に静かに残ります。
