forget me not/ベビーブルーの憂鬱

📝 DMM.com BL小説

forget me not/ベビーブルーの憂鬱

発売日: 2026/07/31 | 著者: 皆川ひとえ / 飴屋みなと

▶ 『forget me not/ベビーブルーの憂鬱』の試し読み・お得なセール状況をチェック!

紫苑

本編の一年前と一年後を、別のペアの視点から切り取る構成。しかも「特別」と「傍にいたい」を対置させる。これはもう、分析せずにはいられない。

「特別」という名の呪いと祝福——時間差が紡ぐ青春群像の構造

本作は「ブルーエイジ」本編の前日譚と後日譚を収録した一冊だ。一つ目の物語「forget me not」では、修訓高校の元エース・市川弾希が陵央大学野球部に入部し、同期の外野手・結城和と同室になる。和は初日から弾希に突っかかるものの、寮生活の気詰まりの中である夜、「堂々と抜き合いにしたら、お互いコソコソする必要もなくてええやん」と提案する。

この提案の何が秀逸かと言えば、単なる身体の話ではなく、個室のない共同生活という空間そのものを関係性の土台にしている点だ。二人が「秘密」ではなく「共有」を選ぶことによって、競争と親密さが同居する野球部の空気が立ち上がってくる。

もう一つの物語「ベビーブルーの憂鬱」は、本編一年後。弾希の弟・青真が中学生になり、後輩の陽人が楠中野球部に関するある「噂」を耳にする。兄たちの時代から続く温度差を、今度は別の角度から照射する構成だ。

紫苑

「特別になりたい」と「ただ傍にいたい」。この二つの願いが交差した瞬間、物語はもう動き出しているんですよ。

見どころ

  • 時間差が生む「特別」の反響:前日譚では結城和が「お前、あの市川弾希やん」と距離を詰め、後日譚では青真と陽人が「特別」「傍にいたい」という正反対の願いを抱える。同じ言葉が違う文脈で鳴り響く構造が堪らない。
  • 寮生活という閉鎖空間の力学:一人になれる時間がないからこそ生まれる、突っかかりと共有の同居。弾希と和の関係性が「コソコソしない」という選択で転がり始める過程は、心理描写の行間を読む楽しさに満ちている。
  • 野球部を舞台にした群像劇の熱量:先輩後輩・同期という縦横の関係が、競争と連帯を同時に生む。野球そのものの試合描写ではなく、そこに集う人々の距離感と感情の機微が主役だ。

こんな人におすすめ

  • ✅ 初対面から衝突しながら、とことん距離が近づく関係性を読みたい方
  • ✅ 一つの作品世界を別視点・別時間軸で味わう構成に魅力を感じる方
  • ✅ 「特別になりたい」「ただ傍にいたい」といった、切なくて儚い願いの交錯に心を揺さぶられたい方
紫苑

あらすじだけでこれだけ構造が読み取れる作品は久しぶりです。「特別」という言葉が持つ重さと、それをめぐって絡まり合う人々の願い。15年やってきた私が言うんだから、間違いない。この一冊、最初から最後まで、行間を味わう覚悟で読みます。
WEB SERVICE BY DMM.com