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「完璧な敬語」の上司と、恋に蓋をした部下のVRハロウィン
本作は、誰にでも完璧な敬語を崩さない上司・舞野さんと、「どうせ私なんか」と恋に蓋をしてきたヒロインの片想いを描くTL小説です。全編ヒロイン「私(ネームレス)」視点で、VR編2章+現実編4章の全6章構成。約4万4千字の本編を縦書き245ページ/横書き141ページの2レイアウトで読める形になっています。
物語のきっかけは、ハロウィンの二日前に商店街の福引きで当てた四等賞のVR機器。「敬語上司の舞野さんと……」と入力してから赤面するヒロインの姿が、まずはこの作品らしさの入口です。夢の中の彼は照れくさそうにキャンディをくれて、告白を途切れさせたまま唇を重ねてくる――という、現実では絶対に見せない顔がVRの中にだけ現れます。
見どころは「敬語が取れていく」三段階
VR内のラブシーンでは、彼の「あなたのことが……」という語尾が揺れ、「止まれない」で敬語が落ち、呼び方が「お前」に変わります。この敬語の崩れ方が段階的に描かれているのが、本作を語るうえで外せないポイントです。まさかのバイブ登場、拘束クリ責めからの立ちバックと、VR内ならではのシチュエーションが展開されます。
注意事項として、VR内には拘束・玩具・言葉責め・羞恥(窓際)の描写があることが明記されています。また、VR内の行為はヒロインが〝VRの映像〟と信じたまま進み、途中で続けるかどうかを確かめる場面も用意されています。現実の夜は、ヒーローが許可を求めながら進む構成です。ヒーロー以外との行為はなく、ハッピーエンドで締めくくられます。
夢だと思っていた夜が、現実に侵食していく
翌朝、いつもの完璧な「おはようございます」。何百回と聞いたはずのその敬語が、今日だけ切なく響く――というのが現実編の始まりです。そして彼の胸ポケットにはカボチャのボールペン、デスクには包み紙の猫まで同じ棒付きキャンディ。VRの中にあったものが、現実のオフィスに確かに存在している。「偶然……だよね?」と揺れるヒロインの心情が、物語をぐっと引っ張ります。
二人きりのオフィスで、書類も持たずに来た彼が告げる「あなたのことが、好きです」。VRで途切れた言葉が現実で完成する瞬間です。さらに「あの夜、あなたに触れたのも、あなたを抱いたのも……全部、俺の意志です」という告白が、夢だと思っていた夜の意味を大きく変えていきます。
ハロウィン当夜、そして灯りをつけない部屋で
ハロウィン当夜、「……約束どおり、一緒に帰りませんか?」と誘う彼。オレンジに染まった商店街で繋いだ手には、VRとは違う体温と、震える指があります。灯りをつけない彼の部屋での「……触って、いいですか」、ずれるキス、髪に触れての「……きれいだ」、敬語が落ちた「……声、聞かせて」。事後にはメガネと一緒に敬語が戻り、「……いけません。風邪を引きますよ」と気遣う姿まで描かれます。
VRと現実、二つの夜で見せる彼の顔の違い。敬語の内側に隠されていた本音が、少しずつ現実の言葉になっていく過程を追いかけたい方に向いています。オフィスラブの枠の中で、VRという仕掛けとハロウィンの季節感を楽しみたい読者に合う一冊です。
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