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「めんどい」が口ぐせの用心棒が、実は伝説の戦士だった
本作は、何をやってもそこそこ止まりで「なんでもできるって、何もできないと一緒」と言われてきたティナが、頼まれれば何でも引き受ける「何でも屋」を営むところから始まります。彼女が雇っている用心棒のグレンは、熊みたいにデカくて、いつもだるそうで、口ぐせは「めんどい」。そのくせ戦えば誰よりも強い——という、見た目と中身のギャップがまず魅力的な作品です。
物語の軸になるのは、そんなグレンがなぜかティナから離れていかないこと。山の夜は当たり前のように腕の中へ抱え込んで眠り、かわいいと何でもないことのように言ってくる。めんどくさがりのくせに、こういうところだけ激甘なのです。やがてティナは、グレンが面倒だからと引退した伝説の戦士で、いまも騎士団が「どうかお戻りを」と頭を下げに来るような人だと知ってしまいます。
ティナが逃げた理由と、追いかけてきた男の本気
こんな人の足を引っぱってはいけない——そう思ったティナは、置き手紙ひとつでグレンのもとを離れます。しかし、隊商に乗った夜、峠で魔王軍の残党に襲われ、腰が抜けて動けないところへ腕より太い爪が振り下ろされる。それを止めたのは、横ざまに構えた大剣の腹でした。見慣れた大きな背中が、びくともしないで立っている。
「ティナを、捕まえに来た」——逃げてと叫ぶティナに、グレンは自分の外套をばさりとかぶせ、「終わったら、お仕置きするから」「覚悟してて」と告げます。何にも執着しなかった男が、生まれて初めて欲しがったもの。それがティナ自身だという構図が、この作品のいちばんの読みどころです。
「好き」と言うまで終わらない、お仕置きの夜
峠の宿の寝台に落とされたティナに、初めて見るグレンの顔が降りてきます。怒鳴らない、説教もしない。いつも半分閉じている目が据わって、ティナだけを見ている。両手首はまとめて頭の上、内腿を割り開く手のひら。怖いと漏らしても否定はしてくれず、「惚れた女が横で寝てんの、毎日、指くわえてさあ……」と本気で怒っている声が続きます。
「ティナが好きっていってくれんの、ずーっと待ってたんだ。それで、これかよ」——言えるようになるまで、イッても止めてもらえない。そして翌朝、湯をもらいに行くだけと腕の中から抜け出したティナの足首を掴んで、同じ言葉をぜんぜん違う声で言うのです。「ほらな。やっぱり逃げる」。お仕置きは翌朝も続き、今度は笑いながら。甘さと執着が同じ男の中に同居している場面で、この作品の山場にあたります。
グレン視点の巻末「彼の話」と、作品のボリューム
本編は一章から九章までがティナ視点。巻末にはグレン視点の「彼の話」が収録され、寝込みを襲うえっちまで含めて、合わせて約7.5万字です。グレン視点では、わざわざティナが来そうな場所を選んで寝ている自分に「俺、キモイな……」と思いながら、やめようとは思わなかったことが語られます。好きって言われるまでこちらも言い続けて、言われたらそこから先は一生離さない——そう決めていた、と。ダルそうな顔の裏側が明かされる構成は、本編を読み終えたあとに効いてくる作りです。
えっちは6シーン+胸だけの夜。山の夜のテントの中、魔石に酔った夜の焚き火の前、薄い壁の宿、逃げた夜のお仕置き、好きと言えた夜の初めての挿入、翌朝の続き、そして巻末のグレン視点と、場面ごとに状況が変わるのも見どころ。入口に押しつけた熱いものを、額に汗を浮かべたまま入れなかった夜の「……わかったよ。いいや、いまは」という一線の引き方も、この男の誠実さがにじむ場面です。
こんな人に向いている作品
- 最強のフィジカルの男前に、かっこよく守られたい人
- 余裕のある男が、この子にだけ加減をなくして「かわいすぎ」と崩れるところを見たい人
- 何もできない自分のままで丸ごと欲しがられて、甘やかされたい人
- えっちもストーリーも、どちらも楽しみたい人
何をやってもそこそこ、というコンプレックスを抱えたヒロインが、逃げ場のないほどの執着で「そのままでいい」と示される物語。ダルそうな用心棒の静かな本気を、ティナ視点とグレン視点の両方から味わいたい方に届く一冊です。スマホ版・文庫版・♡抜き文庫版の3種類のPDFが同梱されているので、読む環境に合わせて選べるのも嬉しいところです。
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