宇津木 しずり

お社の一言をよそへ漏らした私に一言主さまが『代はお前の口で言え』と葛の岩座へ召し、自分で言った言葉のとおり葛の花が散るまで孕まされ続けた話・一話〜 TL小説

お社の一言をよそへ漏らした私に一言主さまが『代はお前の口で言え』と葛の岩座へ召し、自分で言った言葉のとおり葛の花が散るまで孕まされ続けた話・一話〜

序 書いてはいけない一言だった。筆が滑ったのは一瞬で、写しは三日で里を回りきった。自分の足で岩座へ上がったわたしに、神さまは罰の名を言わなかった。
宿の源泉を止めてしまった湯守の私に冷え切った湯の神が『湯が戻るまで温めてくれ』と縋りつき、湯気の岩室で幾夜も湯より熱く貪られて孕んだ話・一話〜 TL小説

宿の源泉を止めてしまった湯守の私に冷え切った湯の神が『湯が戻るまで温めてくれ』と縋りつき、湯気の岩室で幾夜も湯より熱く貪られて孕んだ話・一話〜

序 その晩だけ、岩室に湯気がなかった。締めた湯口の前に素肌の男がうずくまっていて、わたしの手を取った指は、氷より冷たかった。
春に樋を開け違えて苗代を流した私のもとへ泥の匂いの田の神が降り、植え直した早苗が青むまで泥の褥に沈められ夜ごと孕むまで種を植え付けられた話・一話〜 TL小説

春に樋を開け違えて苗代を流した私のもとへ泥の匂いの田の神が降り、植え直した早苗が青むまで泥の褥に沈められ夜ごと孕むまで種を植え付けられた話・一話〜

序 水の音で目が覚めた。樋が開いたままになって、苗代がひと枚、月の下で湖になっていた。その真ん中に、膝まで泥に沈んだ大きな背中が立っていた。
不漁の浜で鯨の骸を弔った晩に寄り神が起き上がり『供養の代は孕んで返せ』と潮の腕で岩屋へ抱え込み、大潮が七度満ちるまで奥を暴かれ種付けされた話・一話〜 TL小説

不漁の浜で鯨の骸を弔った晩に寄り神が起き上がり『供養の代は孕んで返せ』と潮の腕で岩屋へ抱え込み、大潮が七度満ちるまで奥を暴かれ種付けされた話・一話〜

序 三年、この浜には一匹も寄らなかった。八十年ぶりに寄ったそれは、鯨だった。「供養の代は、孕んで返せ」――弔いを終えた晩、白い骨の山が、内側から立ち上がる。
道普請で辻の境石を跨いで運んだ私に道祖神さまが『越えた代は置いてゆけ』と祠の内へ引き入れ、新しい石が据わるまで幾夜も孕むほど注がれた話・一話〜 TL小説

道普請で辻の境石を跨いで運んだ私に道祖神さまが『越えた代は置いてゆけ』と祠の内へ引き入れ、新しい石が据わるまで幾夜も孕むほど注がれた話・一話〜

序 境石は、思ったより温かかった。朝だというのに人肌の温みを持つそれを背負って辻を跨いだ晩、祠の戸が内から鳴った。――越えた代は置いてゆけ。
たたら場の火が落ちた晩に炉の神が現れて『鉄の代わりに孕め』と灼けた掌で腰を掬い上げ、四度の一代が終わるまで炉の熱ごと注ぎ足されて孕んだ話・一話〜 TL小説

たたら場の火が落ちた晩に炉の神が現れて『鉄の代わりに孕め』と灼けた掌で腰を掬い上げ、四度の一代が終わるまで炉の熱ごと注ぎ足されて孕んだ話・一話〜

三十年ぶりに火が入った炉に現れた神・金火。鉄の代わりに孕めと告げられ、里の娘・ふゆが選び取る運命の物語。人外×体格差×溺愛の和風あやかしTL、心臓が灼けるような熱を体験したい方に。
地鳴りの止まぬ里で要石を動かした私を地の底の鯰神が『鎮めたくば我が子を抱け』とぬめる腕で押し広げ、揺れが収まるまで幾夜も種付けし続けた話・一話〜 TL小説

地鳴りの止まぬ里で要石を動かした私を地の底の鯰神が『鎮めたくば我が子を抱け』とぬめる腕で押し広げ、揺れが収まるまで幾夜も種付けし続けた話・一話〜

序 傾いた要石の縁に指をかけて、わたしは石を戻そうと力を込めた。「鎮めたくば、我が子を抱け」――割れ目から溢れた泥の中から、ぬめる腕が伸びてくる。
野分の道の風除け塚を崩した私に姿の見えぬ風の神が『詫びに孕め』と告げ、嵐が三度この浦を抜けるまで見えぬ腕で脚を開かされ幾度も種を残された話・一話〜 TL小説

野分の道の風除け塚を崩した私に姿の見えぬ風の神が『詫びに孕め』と告げ、嵐が三度この浦を抜けるまで見えぬ腕で脚を開かされ幾度も種を残された話・一話〜

序 詫びに孕め」――声だけが、風下からした。振り返っても誰もいない。崩れた塚の石を抱えたまま、わたしの襟だけが、内側から押し開かれていく。
桑が枯れた年に蚕室へ籠められた私を繭の主が『糸を吐けぬなら子を成せ』と生糸で手首を縛り、繭が孵るまで幾夜も奥へ吐き出して孕まされ続けた話・一話〜 TL小説

桑が枯れた年に蚕室へ籠められた私を繭の主が『糸を吐けぬなら子を成せ』と生糸で手首を縛り、繭が孵るまで幾夜も奥へ吐き出して孕まされ続けた話・一話〜

序 白い繭で埋まった棚の奥に、生糸を纏った大きなものが立っていた。桑の葉は、もうこの谷のどこにも残っていない。「糸を吐けぬなら、子を成せ」――そう言われて、わたしは自分の口で承知した。
星降る峠で行き倒れた私を明星の神が『地に堕ちた我の褥になれ』と光の腕で抱き上げ、夜明けが来るまで身体の芯を灼かれ孕まされた話・一話〜 TL小説

星降る峠で行き倒れた私を明星の神が『地に堕ちた我の褥になれ』と光の腕で抱き上げ、夜明けが来るまで身体の芯を灼かれ孕まされた話・一話〜

序 「地に堕ちた我の褥になれ」――三つ目の星が窪地の草を灼いて、その中から輪郭の見えないほど眩しいものが出てきた。天へ帰るまでは、たった一夜しかないのだという。