エンドマークの続きから

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エンドマークの続きから

発売日: 2026/08/07 | 著者: 伊香亞紀

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蓮

まず、あらすじの時点で「復讐」と「セフレ関係」という二語の重さに息を呑んだ。これは単なる再会モノではない。構造的に見て、かなり深い溝がある。

壊れた関係が「エンドマークの続き」を描くまで

高校時代に恋人同士だった瑞稀と颯太。しかし、その関係を颯太の母に知られたことで、颯太はアメリカ留学を余儀なくされます。ここで注目したいのは、颯太が「瑞稀のためなら家族を捨てる」とまで言ったのに対し、瑞稀は同じ覚悟を持てず、一方的に別れを告げて逃げてしまったという点です。

この非対称性が、物語の根幹を支えているように思います。颯太は全てを捨てる覚悟があったのに、瑞稀はそれに応えられなかった。その罪悪感と後悔を抱えたまま時が過ぎ、就活中の偶然の再会。しかしそこにいたのは「かつての太陽のように笑う颯太」ではありませんでした。

「瑞稀に復讐するために帰ってきた」と冷たい笑みを浮かべる颯太が持ちかけたのは、恋人関係ではなくセフレ関係。かつて純粋な恋だったものが、形を変えて再び始まる——その歪さに、まず心を掴まれました。

蓮

「恋を壊された男と恋を捨てた男」……この紹介文だけで既に尊い。復讐の裏に何が隠れているのか、感情の機微を読み解きたくなる。

対照的な二人が描く、歪な再会の構造

瑞稀は「恋を捨てた男」と評されています。覚悟を持てなかった自分を恥じ、颯太を傷つけた代償を背負い続けてきたのでしょう。一方の颯太は「恋を壊された男」。母によって引き裂かれ、最愛の人からも一方的に拒絶された。その二重の喪失が、彼の笑みを冷たく変質させたのだと想像できます。

颯太が復讐としてセフレ関係を持ちかける、という行動原理には、ある種の一貫性があります。かつて純粋な愛を捧げた相手に、今度は「純粋さを一切排除した関係」を強いる——その心理の複雑さは、文学的に考察し甲斐があります。単なる嫌がらせではなく、瑞稀への未練や執着が裏返った形なのではないか、と予想せずにはいられません。

瑞稀がこの提案をどう受け止めるのか。罪悪感から受け入れるのか、それともかつての恋心が蘇るのか。二人の関係がどこへ向かうのかは、あらすじからは紡げない物語の核心部分。しかし「失ったはずの恋が、もう一度動き出す」という言葉が示すように、この歪な再出発が、やがて本物の感情を取り戻す過程を描くのではないかと期待しています。

蓮

復讐としてセフレ関係を選ぶ颯太の心理構造が気になって仕方ない。純粋だった愛が歪む過程を、あらすじの行間から想像するだけで胸が痛い。

見どころ

  • 「復讐」の裏に潜む感情の機微:颯太が本当に瑞稀を憎んでいるのか、それとも未練の裏返しなのか。冷たい態度の奥に隠された本心が明かされる瞬間に注目です。
  • 過去と現在が交錯する心理描写:高校時代の純粋な恋愛と、現在の歪な関係。瑞稀の罪悪感と颯太の復讐心が交差するたびに、物語の緊張感が増していくことでしょう。
  • 「セフレ関係」という歪な形から始まる再構築:恋人でもなく、他人でもない。その不安定な関係性の中で、二人の感情がどう変化していくのか。失われた恋が再び動き出す過程が丁寧に描かれることを期待しています。

こんな人におすすめ

  • ✅ 高校時代の初恋が大人になってから再燃する、という切ない恋愛模様が好きな方
  • ✅ すれ違いや行き違いによって壊れた関係が、再び修復されていく過程をじっくり読みたい方
  • ✅ 復讐という冷たい態度の裏に隠された本心や、複雑な心理描写を深く味わいたい方
蓮

……個人的な感情ではなく、構造的な興味として言いたい。純粋だった恋が復讐に変わる過程も、その復讐が再び恋へ戻る過程も、両方描かれるならば、これは相当な名作になり得る。研究対象として、いや文学として、ぜひ読みたい作品だ。
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