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設定に隠された伏線の香り
あらすじだけでも、この物語がどれほど緻密に計算された関係性の上に成り立っているかが伝わってきます。陰キャで隠れゲイというコンプレックスとトラウマの塊である小野寺悠は、高校時代、好きだった後輩の宮越仁を傷つけて逃げた過去を持っています。相手は2学年下で誰からも愛される王子様タイプ。悠のようなモブにも優しく接してくるからこそ、悠は想いがバレるのを恐れて、あえてひどい言葉で縁を切ったのです。
ところが大学のサークルで再会してしまった二人。仁は何事もなかったかのようにキラキラ笑顔で悠に絡んできます。悠は「あの時のこと忘れたのか? 俺のことなんかどうでもいいのか?」と混乱しながらも、必死に「好きじゃないふり」を貫こうとする。この構図だけで、どれだけの伏線が張られているのか想像が膨らみます。綿密に張られた心理の伏線が、後半でどのように回収されるのか、その過程を追いたくなる衝動に駆られます。
キャラクターの魅力と関係性
小野寺悠は、自己肯定感の低さと過去のトラウマに縛られたキャラクターです。隠れゲイであるがゆえに、本当の自分をさらけ出すことに恐怖を感じています。特に仁に対しては、傷つけてしまった罪悪感と、それでも消えない想いが渦巻いている。この複雑な内面を抱えながら、必死で「平然を装う」姿には、共感とともに深い切なさが募ります。
一方の宮越仁は、表面上は誰にでも優しい王子様。しかし、再会後に悠に絡む様子には、単なる後輩の距離感を超えた何かを感じさせます。過去の出来事を「なかったこと」にしているのか、それとも何か別の意図があるのか。このミステリアスな部分が、読者の興味をぐっと引きつけます。普通なら恨まれてもおかしくない状況で、笑顔で寄ってくる行動の裏には、どんな感情が隠されているのでしょうか。
二人の関係性は、単なる先輩後輩の再会物語ではありません。過去の傷を抱えた悠と、その傷を無視するように振る舞う仁。この温度差が、物語に張り詰めた緊張感を与えています。悠が「好きじゃないふり」を続ければ続けるほど、その偽りがいつ崩れるのか、そしてその瞬間に二人の関係がどう変わるのか。この過程そのものが、作品の最大の見どころと言えるでしょう。
見どころ
- 過去のトラウマと偽りの関係性:悠が抱えるコンプレックスと、それを隠すための「好きじゃないふり」という偽装。この嘘がいつ、どのように崩れるのか。その瞬間が待ち遠しい。
- 仁の不可解な行動の裏側:無垢に見える笑顔と絡み方の裏に隠された真意。悠を傷つけた過去をなぜ忘れたふりができるのか、その謎解きが入っている。
- コミックス版ならではの描き下ろし収録:あらすじには描き下ろしが収録されていると記載。本編では語られなかった二人の新たな瞬間が加わることで、関係性の深みがさらに増す。
こんな人におすすめ
- ✅ 陰キャ×王子様という正反対のキャラクターが織りなす恋愛模様に惹かれる方
- ✅ 過去の傷を抱えたキャラが、再会した相手との関係に葛藤するストーリーが好きな方
- ✅ 表面の無垢な笑顔の裏に隠された執着や独占欲を読み解くのが楽しいという方
