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無垢なふたりが紡ぐ、手探りの閨教育――帝国後宮録の純愛に胸がきゅんとなる
名ばかりの子爵夫人だったジネットは、夫の国外追放により実家にも居場所を失ってしまいます。そこへ舞い込んだのが、皇帝の側女として後宮へ迎えられるという運命の転機。しかし後宮では、騎士たちが側女に閨教育を施し、見事に寵愛される側女を育て上げた者が側近に取り立てられるという制度がありました。
侯爵家の庶子でありながら出世を目指す騎士フィンセントは、新しい後宮の女性を選定していたところ、ジネットが皇帝の好みとかけ離れている上に、性的な経験が一切ないと告白する姿を目の当たりにします。放っておけなくなった彼は、自ら彼女の閨教育係に名乗りを上げるのです。
お互いに経験のないもの同士が、手探りで距離を縮めていく。そんな初々しくも甘やかな時間が、この作品の大きな魅力です。身分違いのふたりが、閨教育を通じて本当の愛情に目覚めていく様子は、まさに純愛の醍醐味。第5回ジュリアンパブリッシング恋愛小説大賞銀賞受賞作として、数多くの読者の心を掴んだのも納得です。
経験ゼロ同士が紡ぐ、初々しさ溢れる閨教育
ジネットは夫と同衾したことがない、つまり本当に初めてだらけの状態で後宮にやってきました。対するフィンセントもまた、経験はない。そんなふたりが「閨教育」という名目で向き合うわけですから、そこに生まれるのはマニュアル通りの関係では決してない、ぎこちなくて、でも確かに温かい時間でした。互いの反応に戸惑いながらも、少しずつ心を通わせていく過程が、文章からありありと伝わってくるようです。
出世のための教育係が、いつしか本気の愛に変わる瞬間
フィンセントにとって、ジネットの閨教育は皇帝の側近に取り立てられるための手段のはずでした。なのに、彼は皇帝の好みとかけ離れた彼女のことを知り、性的な経験のなさを告白する彼女を放っておけず、自ら教育係を名乗り出てしまう。そこには計算や打算ではなく、彼女への純粋な想いが芽生えていたからではないでしょうか。ジネットもまた、そんな彼の優しさに少しずつ惹かれていく。身分や立場を超えて育まれる愛の変化に、目が離せません。
