📝 らぶカル TL小説
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三年間の片想いが、ようやく動き出す瞬間
南の大森林のそばまで足を運び続けるマーガレット。その目的はただひとつ、魔術師のドリー様を口説き落とすこと。憧れの人にアタックを始めて、早三年。未だに色よい返事はもらえないけれど、彼女は諦めない。かつて命を救われた恩があり、その人が「ドリー様」なのだから、簡単に引けるはずもない。
面白いのは、マーガレットが貴族のような上品な口調と優雅な所作で、必死に想い人を口説くという点。そのギャップが愛おしくて、けれど本人はいたって本気。良かったら今度お食事でも、と声をかけて断られそうになった彼女が、無意識に唇を尖らせてしまう。その瞬間、彼の横から助け船が出て、なんと「大好きなドリー様」とのデートが実現する。
ところがデート当日、待ち合わせ場所に彼は現れない。仕事のせいで大遅刻したドリーが、彼女に向き合うと決めた瞬間から、マーガレットの幸せで、少し圧倒される日々が始まる。短距離移転魔法の使い手という、国にたった三人しかいない特別な立場の男性が、一人の女性と真摯に向き合おうとする。その重さが、物語の芯になっている。
「向き合うと決めた瞬間」から始まる重さ
この一文が、この作品のすべてを言い当てている。三年間、追いかける側だったマーガレット。その立場が、彼が「向き合う」と決めた瞬間から反転する。けれどそれは、彼女が望んだ甘いだけの展開ではない。「幸せだけど、色々と圧倒されてしまう」という言葉に、その質感が凝縮されている。
ドリーは誠実で温厚な性格の持ち主。だからこそ、一度向き合うと決めたら、その誠実さがそのまま重さになる。魔術師としての自信と、男としての自信の落差を抱えたまま、それでも彼女と向き合おうとする。その姿勢が、相手を幸せにしながらも、どこか圧倒してしまう。「愛が重い」というプレイ内容の記載が、この一文と静かに響き合う。
魔法と執着が交差する、大人のためのTL
短距離移転魔法の使い手という設定は、単なるファンタジーの飾りではない。国に三人しかいない特別な立場の男性が、一人の女性のために時間を使い、向き合おうとする。その行為そのものが、彼の重さの証明になっている。魔法の玩具という要素も、彼が彼女を「圧倒する」ための手段として物語に組み込まれているのだろう。
ドリーの愉快な仲間たち、ガスクとカウルも登場し、前作と同じ世界観を共有している。前作を読んでいなくても楽しめるが、読んでいた方が格段に楽しめるという構成も、シリーズものを追いかける醍醐味。マーガレットの似非お嬢様言葉と、ドリーの柔和な顔立ちの奥にある執着。その対比が、文章の行間でじわじわと効いてくる。
ピュアすぎない、けれど下品でもない。大人の女性が深夜にひとりで読みたい、静かな熱量を持った作品。三年間の片想いが報われた先に待っているのが、ただの甘いだけの日々ではないという事実。それがたまらなく愛おしいのよね。





