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「夜の職務」から始まる、身分差と執着のねじれ関係
今作の魅力は、なんといっても「契約」でも「偽装」でもなく、あくまで「職務」として始まる関係性の歪さにある。冷徹で傲岸不遜なエルフの魔塔主・シリウスの屋敷で長年働くメイドのアリアが、ある夜をきっかけに「夜の職務」まで引き受けるようになる。ここで重要なのは、彼女がそれを決して恋愛ではなく、仕事の一環として割り切っている点よ。
二人の関係の発端は、シリウスが貴族に媚薬を盛られたこと。その場をアリアで発散したことで関係が始まり、以後、媚薬の後遺症でほぼ毎日発情するシリウスは、暇さえあれば彼女を抱く。つまり、彼女にとっては「主人の処理」であり、彼にとっては「必要な相手」——その認識のズレが、物語の根幹を揺らし続けるのよね。
ところが、第一子が生まれ、五歳になる息子を育てながら働く現在、なんと二人目の妊娠まで発覚。それでもアリアは「私はメイドですから」と、身分と職務を頑なに守ろうとする。一方のシリウスは、妊娠した彼女を休ませるために新しい使用人を雇おうとしたり、息子ともっと家族らしく接するよう求めたりと、もはや「ただのメイド」に向ける態度ではない。
この「職務だと信じたい女」と「職務だと誤認させる男」の、行き違いに基づく執着の応酬が、もうたまらないのよね。言葉にできない大人の感情が、行間から匂い立つような静かな熱量を感じるわ。
頑ななメイドと、言葉足らずなエルフ侯爵のすれ違い
アリアは、しっかりもので働き者の平民のメイド。リーフェリア家に長年仕え、金勘定に無頓着なシリウスのために必死で勉強し、金庫番も兼任している。シリウスに臆せず意見できる数少ない人材であり、仕事の一環として夜の関係を割り切るようにはしているが、心の底ではシリウスを主人以上に見てしまう自分に罪悪感を抱いている——この「本当は好きだけど、身分を弁えて感情を殺す」健気さが、もう胸に刺さるのよね。
一方のシリウスは、200歳を超えるギルレイア王国の侯爵で、魔塔主という立場ながら、近年は自邸に引きこもっている。傲岸不遜で冷徹、周囲に厳しい態度から使用人が見つからず、やっと見つけたのがアリアだった。言葉足らずで不器用だが、義理固く、忠誠心がある者には誠実さで返す——つまり、彼なりにアリアを大切にしているのだが、その態度が「雇用主としての誠実さ」なのか「特別な感情」なのか、アリアには伝わらない。
この二人の間には、身分差どころか種族差という大きな隔たりがある。エルフの侯爵と、人間の平民メイド。どれほど身体を求められても、優しくされても、二人も子供を授かっても、アリアは「自分はあくまでメイド」だと思っている。その頑なさが、シリウスの執着をますます強くしていく——この循環が、もう完璧なのよね。言葉にしない男と、言葉にできない女の、不器用な関係性に、深く沈み込むような没入感があるわ。
Q. なぜアリアはシリウスへの想いを自覚できないの?
A. アリアは平民であり、シリウスは貴族のエルフの魔塔主という、大きな身分差を強く意識しています。関係が媚薬を盛られた事件から始まったこともあり、夜の関係を「仕事の一環」と割り切ることで、心の均衡を保っているのです。また、心の底ではシリウスを主人以上に見てしまう自分に罪悪感を抱いており、その感情を認めてしまえば、メイドとしての立場を保てなくなる——という恐れもあるのでしょう。彼女なりの防衛機制が、想いの自覚を妨げているのです。
Q. シリウスがアリアに示す「特別扱い」とは?
A. あらすじから読み取れるのは、妊娠したアリアを休ませるために新しい使用人を雇おうとしたこと、息子と「家族らしく」接するよう求めたこと、そして金庫番という家計の要を任せていることです。さらに、臆せず意見できる数少ない人材として、シリウスが彼女を信頼していることがうかがえます。これらは明らかに「ただのメイド」に向ける態度ではなく、彼なりの誠実さと愛情の表現であることがわかります。
Q. 作品全体に占める濡れ場の割合は?
A. 作品の紹介文によると、全編を通し、濡れ場シーンはおよそ5〜6割程度とされています。また、妊娠中のプレイが中心の作品であることも明記されています。つまり、物語の進行と並行して、二人の身体的な関係が大きな割合を占める構成になっているのです。身分差と執着の心理的な駆け引きに加えて、官能的なシーンをしっかり楽しみたい読者に向けた作品構成と言えるでしょう。
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