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潜入捜査の終わり方が、逮捕ではなく「内通」
本作は、組織犯罪を担当する刑事・榧が、偽名のディーラーとして闇カジノに潜入して一年になる頃から始まるBL小説です。榧は縞の入った耳のシマウマの獣人。潜入はもうすぐ一年に及んでいますが、その間ずっと隠しとおしてきたカントが、闇カジノのオーナー・鴻の前で暴かれてしまいます。しかも、それをやっているのは榧自身の指です。
物語を大きく動かすのは、摘発の日取りが届いた週の展開です。裏口で黒服の手が内腿まで来たところへ、扉の内側から「私の者だ」と声がかかる。そしてその夜、榧は呼ばれていないオーナー室の扉を、自分から叩きます。刑事として潜入していた人間が、捜査対象の側へ自分から歩いていく。この向きの変化が、本作を単なる潜入ものと分けています。
象のオーナー・鴻は、最初から榧が刑事だと分かっている
鴻は扉の枠を少しかがんでくぐるほどの大男の象の獣人で、闇カジノのオーナーです。客を怒鳴らずに帰す、急がない声。そして重要な点として、初めて部屋に入った夜から榧が刑事だと分かっていて、何も言わずに側に置いています。摘発の日取りが届くより前から、鴻は榧の正体を知った上で接しているわけです。
二人きりになると、鴻は榧の手錠を榧の手首に掛け、急がずに奥まで来ます。「お前の手錠だ。鍵も、お前が持っている。外したければ、いつでも外せる物だよ」という言葉が、この関係の性質をよく表しています。拘束しているのは鴻ですが、鍵を持っているのは榧。外そうと思えば外せる状態を、榧が選び続ける。その構図が全5話を通して描かれます。
「止まると言われても、払わない」——体が先に答えを出す
本作には、榧の体の反応と選択が重ねて描かれる場面が複数あります。閉店後の卓では、客のいない席に札を配りながら後ろから入れられ、手を払えば止まると言われても、榧は払いません。オーナーの椅子に自分から座り、前で掛けた手錠のまま両膝を肘掛けに掛けて開く場面では、相棒からの電話の震えをクリに押しつけ、「もう一枚」と自分から腰を押しつけます。
摘発の日取りを渡した夜には、金庫の前で後ろに手錠を掛け、自分の尾の房でクリを撫でられ、鴻の上に乗って自分で腰を落とします。刑事としての任務と、体が向かう先が、同じ人物の同じ夜の中で並んでしまう。その噛み合わなさが、この作品の中心にある感触です。
手錠という小道具が、全編を通して意味を変えていく
本作でもう一つ軸になるのが、榧が胸に入れている刑事の手錠です。札を数える部屋では、その手錠で榧自身が札の機械の脚に繋がれ、震える鉄の側面にクリを押しつけられたまま、初めて潮を噴きます。鴻はそのとき「漏らしたんじゃない。……そうか、初めてか。初めてを、私の機械の前でやったんだね」と言います。
刑事の手錠が、自分の体を繋ぐ道具になり、やがて鴻の言葉の中で「お前の手錠」として榧に返ってくる。摘発の日取りを自分から渡し、内通者になった後も、朝は刑事の顔で署の机に座る。捕まえる側の象徴だったものが、関係のただ中を貫く小道具へと変わっていく過程が、この作品の読みどころです。
こんな人に読んでほしい
- 一年の潜入で隠しとおした体を、捜査の相手に暴かれる話が好きな方
- 自分の手錠で繋がれ、止まらない潮を噴く場面のある作品を探している方
- 体の大きな象のオーナーの、急がない声と大きな手に惹かれる方
- 最後は自分から扉を叩いて、内通者になる結末を読みたい方
全5話完結、約4.5万字。摘発の日取りを自分から渡して内通者になり、それでも朝は刑事の顔で署の机に座る——その落としどころが気になる方に向いています。本作はAIと人間の共同制作で、ストーリーは著者が構成し、AIが相棒として執筆に参加しています。
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