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発売日: 2026/09/19 | 著者: 畑野ミント
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シャンパンを顔にぶっかけた相手が、数日後のスポンサーになってる。この冒頭だけで私はもう駄目ね。謝りに行ったはずなのに立場が逆転していく、あの予感だけで夜更かし確定よ。
謝罪から始まるはずが、なぜか「恋人」を条件に——
穂花は憧れだった役者の道へ進み、ある日、先輩女優の瞳子に誘われてセレブが集うパーティーへ出席することになります。そこで出会った男に夢を否定され、激高した穂花は手元のシャンパンを男の顔にぶっかけてしまう。その数日後、彼女のもとに初のCM出演オファーが舞い込むのですが、依頼主はあの時の男、大手通販会社の社長・桜庭涼介でした。
まさかこんな形で再開するとは、という展開のまま、謝ろうとする穂花へ彼が告げるのは「僕の恋人になってよ。それでこないだのことはチャラにしてあげる」という言葉。夢を否定した相手からの、謝罪を材料にした条件。穂花が「どうせまた私のことを馬鹿にして」と感じてしまうところに、この関係のひりつきが凝縮されています。
それでも、耳元で囁かれるうちにだんだん身体が熱くなっていく。ダメなのに、と抗いながら傾いていく穂花の描写が、作品の温度そのもの。謝罪と取引と、言葉にされない欲が混ざり合う、大人の駆け引きの物語です。
「チャラにしてあげる」の一言に、彼の本心がまったく見えないのがいいのよね。これ、恋人ごっこの形をとってるだけで、たぶん最初から手放す気なんてないやつよ。
見どころ
- 謝罪の場が、いつの間にか主導権を握られる場に変わる構図:穂花は失態を詫びる側で、桜庭は許すかどうかを決める側。この上下関係をはっきりさせたまま、彼は「恋人になって」という条件を出す。謝罪が取引に、取引が親密さにすり替わっていく過程こそ、この作品の背骨になっています。
- 夢を否定した男と、夢を追う女という、埋まりそうで埋まらない距離:穂花は役者としての道を進み、桜庭は大手通販会社を急成長させた社長。職業も立場も噛み合わない二人だからこそ、CM出演という仕事の形で再会する。対等ではない二人が、言葉の端々で相手を測り合うやり取りに目が離せません。
- 囁きひとつで身体が傾いていく、抗いきれなさの描き方:ダメなのに、と分かっているのに、耳元で囁かれると熱が上がっていく。理屈で止められない感覚を軸に置いているので、読んでいる側も穂花と同じ速さで引き込まれていきます。
こんな人におすすめ
- ✅ 謝罪や取引から始まる関係が、ゆっくり親密さへ傾いていく過程を追いたい人
- ✅ 立場の差がある二人が、仕事をきっかけに再会して距離を詰めていく話が好きな人
- ✅ 抗おうとしているのに身体が先に傾いていく、あの感覚を丁寧に読ませてほしい人
シャンパンをぶっかけるという最悪の出会いから、CMという仕事で再会して、そのまま「恋人」という条件を突きつけられる。この流れだけで私はもう十分に持っていかれているのよ。夢を否定した男が、夢を追う彼女を手放さない。契約めいた言葉の下に、たぶん最初から執着が透けている。囁きに身体が傾いていく穂花を追いながら、桜庭の本心がどこで顔を出すのか、そこをじっくり味わいたい一冊ね。





