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運命の歯車をぶっ壊す、奇想天外ラブコメディ
常に運勢最悪な幸薄社畜・芹沢実果は、ある日パワハラ上司に突然プロポーズされてしまう。やけ酒を煽る芹沢の前に現れたのは、謎のイケメンチャラ男・小林美季。「久しぶり」と声をかけてきたかと思えば、彼は芹沢を夜の街へと連れ出してしまう。
この作品の最大の魅力は、運のなかった人生が一気に加速するその展開の痛快さ。しかもタイトル通り、「運UPチャラ男」との出会いから始まるノンストップなラブコメディが描かれるのです。あらすじにある「生まれた時から運がないんです」という芹沢の台詞には苦笑いが漏れますが、そんな彼だからこそ、チャラ男の一言一言が心に響く。特に「俺とセックスするといいことがあるよ」なんて言われたら、誰だって「そんなわけない」と思うでしょう? でも、なぜか信じたくなる――そんな不思議な魅力が小林には漂っているんです。
重厚なドラマよりも、軽妙なテンポで突き進むその勢い。運の悪さを嘆くだけじゃない、ひっそりと人生を楽しもうとする芹沢の強かさも見どころ。そこに、突然現れたチャラ男がどのように絡んでくるのか。描きおろし漫画やカラーイラストも収録された合冊版で、一気に物語に没入できる構成も嬉しいポイントです。
不運社畜×運UPチャラ男――正反対だから燃える関係性
芹沢実果は、車にひかれること3回、センター試験でまさかの盲腸、ジャンケンには一度も勝ったことがないという、まさに「生きているだけで修羅場」な男。そんな彼の不運は単なるネタでは済まされず、人生のあらゆる場面で影を落としてきました。それでも彼は「ひっそりと人生を楽しむ」という姿勢を崩さない。その健気さに、読者はすぐに肩入れしてしまうでしょう。
一方の小林美季は、そんな芹沢に突然「久しぶり」と声をかけるチャラ男。運がいいと自称する彼は、なぜか芹沢に絡み、セフレならぬ「セックスするといいことがある」とまで言い放つ。一見、軽薄で信用ならないキャラクターですが、その言葉の裏には何かが隠されている予感がします。運の悪い芹沢と運のいい小林――この正反対な二人がどうして引き合うのか、その謎が物語の核心を握っているのです。
関係性の軸は「運」というキーワード。運のなさに苦しむ芹沢が、自身の運を変えるために小林に近づくのか、それとも小林の方から何か目的があって芹沢に近づいたのか。あらすじだけでも、この二人の間に流れる緊張感と期待感がひしひしと伝わってきます。芹沢の不運に笑い、小林のチャラさに呆れつつも、やがて彼らの本当の気持ちが見えてくる瞬間を待ちわびてしまう――そんな中毒性がこの作品にはあります。
この一文で心を奪われた
「俺とセックスするといいことがあるよ」
この二文、たったこれだけで作品の全てが詰まっていると言っても過言ではありません。芹沢の「生まれた時から運がないんです」という台詞は、彼の人生そのものを象徴しています。運が悪いのは自分だけのせいじゃない、生まれた時から決まっていた――そんな諦念が滲む一言に、思わず「そんなことない!」と叫びたくなります。
対する小林の「俺とセックスするといいことがあるよ」は、その諦念を切り裂くような衝撃的な一言。露骨でありながら、なぜか「本当にいいことがあるんじゃないか」と思わせる不思議な力を持っています。チャラ男の軽薄な口調の奥に、芹沢への執着がちらりと見える。このフレーズだけで、彼の本気度が測れるのです。
運命の歯車を自らの手で回そうとする小林と、それに戸惑いながらも少しずつ運が変わり始める芹沢。このコントラストが、物語の根幹を成しています。私はこの台詞を読んだ瞬間、「あ、この作者さん、わかってる」と確信しました。運のなさに縛られた男と、運を操る男の恋が、これからどうなっていくのか。その答えが、この一言から始まるのです。
