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忘れられなかったのは、いつもお前の方だった——再会から始まる初恋の行方
『まだ知らない俺達【合冊版】』は、元クラスメイト同士の再会から始まる切ないラブストーリーです。お隣さんとして突然現れた斉藤に、喜多はかつての想いを再び揺さぶられていきます。
あらすじの「卒業式の時でさえ覚えてなくて」という一文に、喜多の切ない片思いの歴史が凝縮されています。女たらしで不良な斉藤がほとんど学校に来ていなかったという背景も、当時の喜多の孤独な視線を想像させます。
ところが再会した斉藤は、なんと喜多のことを覚えている。しかも「泣きそうな顔してたから」という記憶の断片まで残している。このギャップが堪らない。忘れていたはずの相手に、実は強く記憶されていたという反転。胸がきゅっとなります。
「覚えているよ」——斉藤の言葉に詰まった、喜多への特別な視線
引っ越しの挨拶に来た斉藤が口にした「覚えているよ」という言葉。この一言で、物語の温度が一気に変わります。卒業式の記憶を「泣きそうな顔」という情感豊かな言葉で覚えている斉藤の感性が、単なる女たらしの不良ではないことを示しています。
対照的に、喜多はずっと避ける日々を送っていた。忘れられないからこそ、再会した斉藤と向き合えずにいるその心理が、じれったくも愛おしい。再会したふたりの関係の行方は、まさに「自分でも気づかなかった恋心が再び動き出す」予感に満ちています。
避ける喜多と、挨拶に来る斉藤——すれ違いから生まれる距離感の妙
卒業式の記憶すら持っていなかったはずの相手に避けられて、それでも挨拶に来る斉藤の行動力。一方で、どうしても斉藤を避けてしまう喜多の臆病さ。この温度差が、見ているこちらをじりじりさせます。
「忘れられなかった喜多」と「覚えていた斉藤」。ふたりの視線が交差したとき、長年封印してきた感情がどう動き出すのか。再会ものだからこそ成立する、過去と現在が絡み合う繊細な心理描写に、この作品の真髄が詰まっていると感じます。
