キスのむこう【合冊版】

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キスのむこう【合冊版】

発売日: 2026/08/03 | 著者: 九条AOI

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紫苑

あらすじを読んだ瞬間から既に熱量が上がっています。幼馴染の関係が告白とキスひとつで揺れ動く、この構図……まさに解釈一致。読む前から傑作の予感しかしません。

告白とキスが、ずっと変わらなかった三人の時間を静かに揺らしはじめる――

本作『キスのむこう』の主人公・桐緒は、幼馴染である栄太に片思いをしてきた。だが栄太に恋人ができたことでその想いは叶わず、桐緒は心の傷がいえない日々を過ごしている。幼馴染でずっと仲良しの三人だからこそ、栄太の恋人の存在は一層、桐緒の心を追い詰めていく。

そんなある日、同じく栄太のことが好きだと思っていたもう一人の幼馴染・史朗が、桐緒に衝撃の告白をする。それは栄太への想いではなく、桐緒自身への想い。さらにその言葉に続くように、史朗は桐緒にキスを落としてしまう。親友だったはずの関係が、その瞬間を境に張り詰めた空気へと変わりゆく。

キスを境に、桐緒の中で史朗の存在が意識されはじめる。それまで気にも留めなかった視線の熱や仕草のひとつひとつが、日に日に色を帯びて映るのだ。栄太への失恋と、史朗からの想い。ふたつの感情が交錯するなかで、三人の関係は少しずつ、しかし確実に変わっていく。

紫苑

失恋の傷を抱えたままの桐緒に、まさかの告白とキス。この畳みかける展開、重い……最高です。三者三様の想いがどう絡み合うのか、読む前から胃が痛い。

失恋の傷痕に、新しい感情が注ぎ込まれる繊細な心理描写

失恋したばかりの桐緒にとって、史朗の告白はあまりにも予想外の出来事だ。栄太への想いを引きずる心のなかで、史朗の言葉と唇の温度が繰り返し反響する。傷が癒えないままに新しい感情が芽生えはじめるその過程は、まさに青春の苦さと甘さを凝縮したかのよう。想いを受け止めたくても、まだ心の整理がつかない桐緒の揺れる心情に、読者は強く引き込まれるだろう。

幼馴染という近さが、かえって関係を繊細に歪ませる緊張感

幼い頃から一緒に育った幼馴染であるからこそ、三人の関係性はどこまでも近く、そして壊れやすい。史朗の告白によって、それまでの気安い関係は一瞬で歪み、交わす言葉のひとつひとつに意味が宿りはじめる。桐緒と史朗の距離は近いのに、心の距離は複雑に絡み合う。親しさの裏側に潜んでいた感情が表面化する瞬間の、なんと繊細で甘やかなことか。

紫苑

待って、この構造、完全に私の好みのど真ん中です。失恋した側が、想い人を好きだと思っていた相手から告白されて、しかもキスされて気になり始める。伏線の張り方が自然すぎて、むしろ怖い。史朗はいつから桐緒のことを? 栄太への想いはどこへ向かう? 三人の均衡が崩れる瞬間を、この目で確かめたい。ハッピーエンドの保証はないけれど、それでも関係性の行方を追いたくなる。これこそが青春の残酷さと美しさ……覚悟して読みます。
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