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「忘れても、また恋をする」――記憶を失った年下ヤクザと、それでも愛を選ぶ外科医の物語
大学病院の若きエース整形外科医・高良惣太は、関東最大の暴力団・伊武組若頭の伊武征一郎と婚約し、幸せな同棲生活を送っていた。しかし新年早々、伊武が甥を庇って大怪我を負ってしまう。一命は取り留めたものの、伊武は惣太と出会ってからの一年八ヶ月の記憶だけを失ってしまったのだ。
恋人だったことも、一緒に過ごした日々も、プロポーズもすべて忘れられて絶望する惣太。それでも「もう一度、恋を始めよう」と決意するが、伊武は惣太をただの担当医としか認識しておらず、まるで別人のようで――。
人気作家・谷崎トルクが贈る、笑いと涙のホスピタル・ラブコメ。大人気シリーズが、ついに感動の完結を迎える。記憶を失った相手と再び愛を紡ぐという、切なくも温かい物語だ。
「ただの担当医」――失われた関係性が生む、やり切れない距離感
伊武にとって惣太は「ただの担当医」でしかない。かつて最も近しい存在だった人が、別人のように振る舞う。この距離感の描写が、読者の胸を抉る。記憶を失う前の甘やかしと、失った後のそっけない態度。その落差が、惣太の絶望と孤独をより一層際立たせる構造になっている。
それでも惣太は「もう一度、恋を始めよう」と決意する。失われた記憶の代わりに、新しい思い出を作ろうともがく姿は、関係性を再構築する苦悩と希望の両方を描き出している。記憶がなくても、また愛せるのか。その問いに対する答えを探す旅が、この物語の核と言えるだろう。
「笑いと涙」――シリアスな設定に宿る、温かなユーモア
記憶喪失という重たい設定でありながら、本作は「ラブコメ」を冠している。年下ヤクザの若頭と、真面目な外科医の凸凹コンビ。記憶を失っても変わらない伊武の気質や、それに振り回される惣太のリアクションに、思わず笑みがこぼれる場面も多いのだろう。
シリアスな展開の中にコメディの要素を織り交ぜることで、悲壮感だけに頼らない物語に仕上がっている。涙と笑顔の振れ幅が大きいからこそ、登場人物たちの感情の機微が鮮やかに浮かび上がる。ホスピタルを舞台に繰り広げられる、再生と恋の物語。その結末に、きっと多くの読者が涙するはずだ。
