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発売日: 2026/09/08 | サークル: カニさん堂 | 79P
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八百年の孤独を抱えた竜と、温もりのない日々を送ってきた娘。これは契約でも救済でもなく、もっと根深いものの話なのよね……。わかりみが深い……。
愛を語れない者たちの、静かで執拗な求愛
公爵家の庶子として冷たい環境に育ったメイリの前に現れたのは、蒼氷の竜ジギスムンド。「運命の伴侶」だと告げる彼の言葉を、彼女自身も否定できない理由があるという。しかし心が追いつかないまま揺れる娘のために動き出すのは、なんと愛を語る言葉を持たない鉄面皮の父。異種婚姻譚でありながら、不器用な父と娘の物語として紡がれる読み切り短編です。
「よくある」と冠しながら、その裏側には八百年という途方もない時間の重みと、血の繋がりでありながらすれ違ってきた家族の形が横たわっています。甘い求婚の言葉の奥に、長い孤独がにじむ設定がもう、大人の心を掴んで離さないのよね。
竜の一途さも気になるけれど、鉄面皮の父がどう動くのか。言葉を持たない男の愛情表現って、きっと不格好で、それでいて重いのよね……。
八百年の孤独が生んだ、竜の執着と純粋さ
ジギスムンドはメイリを「運命の伴侶」と断言します。しかし彼女はその言葉を否定できない理由を心に抱えており、ただ受け入れることもできない。お互いに確かな繋がりを感じながら、心が追いつかないもどかしさ。八百歳の竜の執着は、長すぎる孤独の裏返しであるはずで、その重さが彼女をどう揺さぶるのか。言葉にできない感情を、文体の奥から感じ取れる構成になっているようです。
「愛を語らない父」が動かす、家族の再生の物語
娘の心の動きを見届けたとき、動き出すのは鉄面皮の父。愛を語る言葉を持たない彼が、どのような形で娘へ想いを示すのか。異種婚姻譚の枠に収まらない、父と娘の物語という視点が新鮮です。冷え切っていた家族の関係が、竜という異分子の出現によってどう温まっていくのか。言葉にしない者の不器用な愛情が、物語の核として静かに光を放っています。
甘い竜の求愛と、不器用すぎる父の愛情。この二つが重なったときの涙腺崩壊っぷり、想像しただけでやばいわ……。八百年の孤独に寄り添う気持ちと、父親の隠された情。短編でこの密度、正直お腹いっぱいになりたい。
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