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発売日: 2026/09/21 | 著者: 桃果コウ
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これ、本当に見つけたときは声が出たのよね。契約結婚ものって数あるけど……「俺は――彼女を愛しているんだ」この一言で、もう駄目だったわ。
偽装のはずが、本物になっていく過程が静かに沁みる
2億円の借金の代わりに、ワケアリな財閥の御曹司・風間ジンと契約結婚することになったルイ。あくまで偽装夫婦として始まったはずの関係が、次第に二人の距離を変えていく。ルイはジンに一目惚れしていた自分に気づき、ジンもまた、財閥の世界に慣れようと懸命に頑張るルイの姿を意識せずにはいられなくなる。互いに惹かれていくのに、それを認められない。この「言えない時間」の質感が、この作品の一番の読みどころだと感じたのよね。
さらに面白いのは、ジンがルイに突然避けられて戸惑う展開。理由が意外なものだと分かってほっとしたのも束の間、ひょんなことから二人は床に倒れ込み、一線を越えてしまう。焦らされた分だけ、その瞬間の密度が濃い。契約という名目の檻の中で、感情だけが先に溢れていく構造が丁寧に描かれているわ。
「避けられる理由が意外なもの」って部分、ここが一番気になるのよ。すれ違いの理由が重いのか軽いのかで、その後の甘さの質が変わるじゃない。もう、そこだけで一冊読めるわ。
見どころ
- 御曹司の「俺様」と「執着」のバランス:風間ジンは財閥の御曹司でありながら、ルイに対しては「俺は――彼女を愛しているんだ」と認める瞬間がある。立場の強さと、一人の女性への執着が同居しているからこそ、契約結婚という建前が崩れていく過程に説得力を感じるのよね。
- 庶民女子・ルイの健気さと自覚の遅さ:借金の代わりに契約結婚という状況の中で、ルイは財閥の世界に慣れようと一生懸命に振る舞う。その素直さがジンを惹きつける一方で、自分が一目惚れしていたことに気づくタイミングが遅い。この「遅れてくる自覚」が、読者の焦れったさと重なるのよ。
- 床に倒れ込んで一線を越えるまでの流れ:偽装夫婦として距離を保とうとしていた二人が、ひょんなことから物理的な距離を失い、そのまま越えてしまう。契約という枠が一瞬で意味を失う瞬間の描写に、この作品の甘さと色気が凝縮されていると感じたわ。
こんな人におすすめ
- ✅ 契約結婚ものの「建前と本音のズレ」をじっくり味わいたい人。偽装のはずが本物になっていく過程の、一つひとつの表情や仕草の変化を拾いたい方に。
- ✅ 御曹司の「俺様」な態度の裏に、一人の女性への執着が滲む瞬間が好きな人。強引さと不器用さが同居する男性キャラの温度差を楽しめる方に。
- ✅ 焦らされる時間が長いほど、越えた後の描写に説得力を感じる人。じれったさを「甘さの前段階」として受け取れる方に。
契約結婚って、好きなのよね。感情を「無いこと」にしている間に、じわじわ本物が侵食していくあの感じ。この作品はその侵食の速度が絶妙で、ジンがルイを避けられて戸惑うあたりなんて、もう……俺様が崩れていく音が聞こえるのよ。描きおろしマンガが合計18p収録されているのも、本編の余韻を長く持ち帰れるという意味で本当に嬉しい。まだ手に取っていない人には、静かに教えてあげたい一冊ね。





