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「隠していた身体」と「隠していた想い」が、ひとつの残業で重なる
本作は、生まれつきのカントボーイである身体の秘密を抱えて生きてきた後輩・小清水航と、彼の上司であり学生時代の先輩でもある高杉龍治の関係を描くBL小説です。航は学生時代から龍治への片思いを続けていますが、優秀な上司の前では引け目を感じ続けてきました。そんな二人が、ある夜の残業で二人きりになったことをきっかけに、航の秘密が龍治に知られてしまいます。
この作品の軸となるのは、次の二点です。第一に、航が「誰にも知られたくない」と徹底して隠してきた身体の秘密。第二に、その秘密を知った龍治が「ずっと気になっていた」と独占欲を滲ませるという展開です。動揺する航に対し、龍治は静かにそれを受け止める。この「静かさ」が、単なる驚きや拒絶ではなく、受け入れと独占の意志として描かれる点に、作品の特徴があります。
上司と後輩、先輩と後輩——二重の関係が生む心理の層
航と龍治の間には、二つの関係が重なっています。ひとつは職場における上司と後輩。もうひとつは学生時代の先輩と後輩です。この二重性が、航の「引け目」に複数の由来を与えています。仕事の正確さを評価される後輩でありながら、私的な想いを抱え続けてきた相手でもある。その距離の近さと遠さが、物語の心理的な厚みを生んでいます。
- 航の立場:仕事は正確で真面目な後輩。しかし身体の秘密を徹底して隠して生きている。
- 龍治の立場:出世が早く、周囲から将来を嘱望される上司。航にとっては学生時代からの片思いの相手。
- 秘密が知られる状況:残業で二人きりになった夜。日常の延長線上で、非日常の転換が起こる。
龍治が「出世が早い」「将来を嘱望されている」という設定は、彼の観察眼や判断の速さを裏付ける材料として機能します。航の異変や秘密に気づくこと自体に、説得力が生まれる構造です。二人きりの残業という、職場の日常からわずかに外れた時間が、その観察眼と航の隠し事が交差する場面として設定されています。
「委ねる」までの揺れ——片思いと安堵と快楽の間で
あらすじで示されている航の心理は、「長年の片思い」「秘密を知られた安堵」「快楽」の三つが交錯する状態です。この三つは、単純に快楽へと収束するのではなく、互いに揺れ動く要素として描かれています。特に「秘密を知られた安堵」は、長年隠し続けてきたことの重さを裏返しに示すものであり、単なる羞恥や抵抗とは異なる心理の動きとして読むことができます。
龍治の側の「独占欲」は、静かな口調で滲ませる形で描かれます。声を荒げたり強引に迫ったりするのではなく、「静かに」という修飾が繰り返される点が、この作品の関係性の質を特徴づけています。支配や強制ではなく、受け止めることと手放さないことが同時に成立するような、そんな関係性の予感があります。
こんな読者に
職場を舞台にした上司と後輩の関係を読みたい方。片思いを長く続けてきた受けの心理を丁寧に追いたい方。攻めが静かに独占欲を見せるタイプの関係性を好む方に合う作品です。身体の秘密を軸に、隠すことと知られることの心理的変化を味わいたい方にも向いています。横読み27ページ、約10,200文字と、短編としてまとまった分量です。DLsite専売での販売形態となっています。
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