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「本命にはなれない」から始まる、身代わりの恋
『いたいのいたいのここにいて』は、双子の兄を持つ観月(みづき)が、兄の親友である玲桜(れお)に恋をするBL漫画です。観月は明るく誰からも愛される兄・千星(ちとせ)と比べられ、常に「二番手」として生きてきた人物。そんな観月を、玲桜だけは兄と比べることなく接してくれました。しかし玲桜が想いを寄せているのは、観月ではなく兄の千星でした。
物語の軸となるのは、「あいつ」の代わりとして始まった身代わりの関係です。本命になれないと分かっていながら、好きな人に抱いてもらえるなら――そう考えて関係を始める観月。ただのセフレのはずなのに、玲桜はまるで恋人のように甘く触れてくる。身体だけでは足りなくなっていく観月の心情が、タイトルにも重なる作品です。
観月・玲桜・千星、三人の関係が生む緊張感
この作品を他と分けるのは、観月・玲桜・千星という三人の配置です。観月が抱く劣等感の対象であり、同時に玲桜が想いを寄せる相手でもある兄・千星の存在が、身代わりの関係に切なさと緊張感を与えています。観月にとって千星は、比べられてきた兄であると同時に、好きな人の本命でもあるという二重の意味を持つ存在です。
玲桜が観月に対して「兄と比べない」接し方をする一方で、その想いの先は兄にある。この食い違いが、身代わりという関係の危うさを際立たせます。関係性の構図としては、報われない想いを抱える観月の心情と、恋人ように甘く触れる玲桜の態度のギャップが、読みどころの中心と言えます。
単行本・電子限定の描き下ろしも収録
単行本には描き下ろし漫画13P(好きな人と抱き合える幸せ)が収録されています。さらに電子限定で、描き下ろし漫画6P(あの日のこと)も収録される構成です。本編の関係性を踏まえた描き下ろしが用意されている点は、既刊で気になった方にとって判断材料になるでしょう。
「本命になれない」という切なさを抱えながら、それでも惹かれ合う二人の関係を追いたい方に向く作品です。報われない想いや身代わりという立場から始まる恋を読みたいときに、手に取りやすい一冊と言えます。




