📝 DLsite TL小説
採用から外した相手が、唯一の織り手になっていた
本作は、ホテルチェーンの調度選定を担当する采女鞠乃(33歳)と、織り手の岡見惟人(36歳)の再会を描くTL小説です。六年前、鞠乃は岡見の絣を「あれはまぐれでしょう」と採用から外しました。同じ柄が二度出ないものは調度には採れない、という理屈でした。
六年後、建て替える旗艦館の大広間には、当時の反物と同じものでなければ意匠が通らないことが分かります。許諾を出す創業家は織り手を名指しし、この手でなければ壁面を許さないという条件を付けてきました。代わりの手はおらず、条件を緩められる相手も創業家の側にしかいません。かつて切り捨てた相手に、今度はこちらが頭を下げるしかない——立場の逆転が、物語の起点にあります。
機場の前で、二人とも動けない
物語の舞台は、紡いだ糸と杉の板の匂いが漂う織りの現場です。機には経糸が張ったまま一面に渡されていて、触れれば糸が動き、動けば切れる。だから二人とも動けません。動かないまま、息を止めていられるあいだだけ触られ、感覚だけが満ちていく——という密室の緊張感が、本作ならではの読みどころになっています。
岡見は六年前の言葉を一度も口にしません。その代わりに、触れる場所を夜ごとひとつ増やしていく。言葉にしない執着が、糸の張り詰めた空間で静かに積み重なっていく構図です。
言葉にしない執着と、反物が上がる朝まで
岡見は六年前の恨み言を口にしないまま、触れる場所だけを増やしていく執着型の相手です。鞠乃は独身の調度選定担当で、作中の現在も回想もすべて成人後の出来事として描かれます。全73ページのR18作品で、再会・立場逆転・わからせ・執着攻め・孕ませといった要素が、織りの現場という閉じた空間で重なっていきます。
反物が上がる朝までに、という時間の区切りが示されているのも本作の特徴です。仕事として始まったはずの許諾のやり取りが、糸と木の匂いの中でどこへ向かうのか。立場逆転から始まる再会ものを読みたい方、言葉にしない執着をじっくり味わいたい方に向いています。
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