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病弱な王子と不愛想な竜人、静かに重なっていく夜の献身
本作は、病弱で余命わずかな小国の第三王子リオネイルと、不愛想な異国の青年アルの関係を描くBL小説です。お忍びの外出先で出会った二人ですが、リオネイルは深刻な発作で倒れ、瀕死の状態に陥ります。しかし密かに毎夜アルが忍び込み、口移しで自らの魔素を与え続けたことで、奇跡的に命を繋ぎとめていました。
アルの正体は、伴侶を得る代わりに残された国へ多大な恩寵をもたらす竜人でした。伴侶を得る気などなかったアルが、世界を愛おしむリオネイルと触れ合ううちに自らの想いを自覚し、彼こそが「探し物」なのだと悟っていく——という流れが示されています。
電子特別版には、貫井ひつじ先生の書き下ろしSSが収録されており、本編終了後のリオネイルとアルが過ごす蜜月が描かれるとのことです。
知らないうちに命を繋がれていたという関係性
リオネイルが倒れ瀕死となった場面から、実はアルが毎夜こっそり魔素を与えていたという事実が明かされる構成に注目したいです。本人が知らぬ間に献身が積み重なっていたという構図は、読者だけが先にその重みを知る形になります。口移しという行為の親密さと、それを相手に悟られないまま続けていたアルの距離感。文章の行間でその静かな夜の積み重ねがどう描かれるのか、想像するだけで胸が締めつけられます。
「伴侶を得る気などなかった」竜人の変化
アルは竜人であり、伴侶を得る代わりに残された国へ多大な恩寵をもたらす存在でありながら、その気はなかったと示されています。そんな彼が、世界を愛おしむリオネイルと触れ合う中で自らの想いを自覚し、彼こそが「探し物」だと悟る。この変化の描き方が本作の核だと感じます。不愛想な青年が、自分でも想定していなかった感情に気づいていく過程。その心情の機微を、作者がどう文章に落とし込んでいるのか。読む前から期待が膨らみます。




