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Dom×Subの関係性が「現実」と向き合う、覚悟の最終章
本作は、Dom性に苦悩する倉科と、Sub性を隠してきた一色が紆余曲折を経てパートナー兼恋人になるまでの道のりを描いてきたシリーズの最終章だ。あらすじには、卒業と進路という「現実」が二人の前に立ちはだかるとある。これまで築いてきた関係が、社会という不確かなものの前で揺らぐ瞬間が描かれるのだろう。
特に注目したいのは、行為中に一色が初めてセーフワードを口にしかけてしまう場面だ。これは二人の関係にとって決定的な出来事になる。セーフワードはDomとSubの信頼関係の要であり、それを口にしかけたという事実は、一色が追い詰められている証拠。そして倉科も「追い詰めてしまった」と自信を喪失する。互いを想うがゆえのすれ違いが、痛いほど伝わってくる。
ここで登場するのが養護教諭の羽澄。「君はどんなDomになりたいですか?」という問いかけは、倉科に己の在り方を考えさせるきっかけとなる。これは単なる励ましではなく、Domとしての本質を問う、重い問いかけだ。
第二性に翻弄された青き日々の集大成として、倉科が一色との未来にどう答えを出すのか。同時収録の「side羽澄 後編」も含め、大人の不器用な恋と傷跡がどう描かれるのか、期待しかない。
自信喪失する攻めと、初めてセーフワードを口にしかけた受け
倉科は「自身のDom性に苦悩してきた」とあり、単なる攻めではなく、自分の在り方に葛藤を抱え続けてきたキャラクターだ。そんな彼が、大切な一色を追い詰めてしまったと感じ、自信を失う。この喪失感の描かれ方が、この作品の肝になるだろう。
一方の一色は「周囲の期待を背負いSub性を隠してきた」という背景がある。そんな彼が初めてセーフワードを口にしかけたということは、それだけ倉科との関係が特別で、かつ彼自身の限界が近づいていたことを示唆している。ここに、二人の関係性の深さと脆さが同居している。
そして、この二人が「パートナー兼恋人」という関係を築いている点も重要だ。DomとSubである前に、恋愛関係がある。その二つの軸が交わるからこそ、セーフワードの一件は単なるプレイの失敗ではなく、恋愛そのものの危機として描かれるのだろう。
「どんなDomになりたいですか?」——問いかけが刺さる理由
この言葉は、倉科にとって大きな転機になるはずだ。彼はこれまで「Domとしてどうあるべきか」ではなく、「どうして自分はDomなんだ」という苦悩に囚われてきた。羽澄の問いは、その苦悩を「未来志向」に変換させる。
「なりたい」という表現は、現在の自分を否定するのではなく、これからどう在りたいかを考えることを促す。これは倉科にとって、自分自身と向き合い直すための、優しくも鋭い問いかけだ。一色との未来を考えたとき、彼はどんな答えを出すのか。
この問いかけが、倉科のDomとしての在り方と、一色との関係をどう変えていくのか。それが本作の核心であり、感動のフィナーレへと繋がっていくのだろう。
