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「断る」から始まるのに、なぜこんなに目が離せないのか
本作は、サラリーマンの相馬はるみが主人公のBL漫画です。相馬はとある理由から本気の恋愛を避け、仕事中は堅物不愛想、私生活ではワンナイトの相手との関係を楽しむという生活を送っています。恋愛に本気にならない理由がある、という一点だけでもう気になるのに、物語はそこから思わぬ方向へ転がっていきます。
行きつけのバーで同僚の如月唯翔を見かけても、相馬は当然のようにスルーします。ところが、やけ酒で酔った唯翔がナンパ男に薬を盛られている場面に遭遇し、知り合いを見捨てることに気が引けて助けることに。この「見捨てられない」ところに、相馬の不愛想の奥にあるものを感じます。
助けたはずが、唯翔から「今夜の相手を追い払った責任を取れ」と絡まれ、不覚にも一夜を共にしてしまう。翌朝「お互いに忘れよう」と言いかけた相馬に対し、唯翔が「オレたち体の相性バッチリ」とセフレを提案してくる。忘れるはずの朝が、始まりの朝に変わる瞬間です。
本気の恋愛をしない男が、同僚に絆されるまで
相馬は「本気の恋愛をしない」と決めている人物です。その理由は明かされていますが、あらすじの時点では詳細に触れられていません。大事なのは、彼が自分で引いた線を守って生きてきたのに、唯翔という身近な存在にその線を越えられてしまったことです。スルーしようとした相手だからこそ、助けた時点で逃げ道が塞がれていく。
仕事中の堅物不愛想な顔と、私生活での割り切った関係。その二つの顔を持つ相馬が、唯翔と一夜を共にしたことで、どちらの顔でも処理できない感情の位置に立たされます。「責任を取れ」という唯翔の理不尽な絡み方も、酔いが醒めた後の提案も、相馬のペースを確実に乱していく要素です。
「体の相性バッチリ」から始まる関係の危うさ
唯翔の提案は、恋愛ではなく体から始める関係です。けれど相手は一夜限りの他人ではなく、職場で顔を合わせる同僚。しかも相馬が助けた相手。距離の詰まり方が独特で、簡単には切り離せない位置に二人が置かれています。セフレという枠に収めようとするほど、日常と私生活の境界が曖昧になっていく構造が巧みです。
収録内容には1〜6話に加えて描き下ろし16P、さらに電子限定の描き下ろし漫画も含まれています。本編の先の二人まで用意されている構成は、関係の変化を追いかけたい読者にとって大きな魅力です。体から始まった関係がどこへ向かうのか、最後まで見届けたくなる一冊です。





