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発売日: 2026/09/17 | 著者: どうざき
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ワンナイトから同一支店への異動で再会、しかも相手が処女の美人係長……この設定だけで関係性の力学がもう面白い。久我の「絶対彼氏になりたい」という願望と、志貴さん好みを装うダウナー偽装の矛盾が、どこで綻ぶのか。構造としてすごく気になる。
「なりたい」と「装う」のねじれが生む、すれ違いオフィスラブ
本作は、信用金庫の新人職員・久我が、憧れの先輩である志貴さんとワンナイトを経て、連絡先も交換しないまま一度は別れるところから始まります。ところが志貴さんが同じ支店に異動してきて、物語は動き出します。ここで久我が取った手段が「志貴さん好みのダウナー系男子を装う」というもの。相手に好かれたいという願望が、本来の自分を隠す偽装へと直結していく構図が、この作品の中心にあります。
注目したいのは、装いの動機が「絶対彼氏になりたい」という前向きな願望である点です。偽ることは後ろめたさを伴うはずなのに、久我の行動原理はあくまで接近と前進。嘘が嘘として機能しつつも、その裏側にある気持ちはまっすぐで、読む側は嘘の行く末と本音の行く末を同時に追うことになります。志貴さんが「しごでき美人係長(処女)」であることも、このすれ違いの温度差に効いてきそうです。
タイトルの「恋と嘘には利息がつきもの」という言葉も、金融機関という舞台と重なって印象的です。嘘は時間とともに利息を伴って膨らむもの。ダウナー偽装を続けるほど、本当の自分との差が積み上がっていく——そんな構造が、お仕事BLとしての日常のなかに自然に織り込まれています。コミックス版には描き下ろし13Pと電子配信版限定の漫画も収録され、本編の余韻を補完する構成になっています。
「装う」って、相手を想うほど自分を切り離していく作業で。久我がどこで「もう無理だ」ってなるのか、あるいはならないのか。すれ違いの設計が丁寧そうで、そこが一番読みたいところ。コミカルってついてるのに、じわじわ効いてくるタイプの予感がする。
見どころ
- 偽装と本音の同居:久我は「志貴さん好みのダウナー系男子」を演じながら、内側では「絶対彼氏になりたい」と願い続けています。行動と内面が一致しない状態が、会話や距離感の一つひとつに緊張を生みます。偽装が長引くほど、素の自分を出すタイミングは難しくなっていきます。
- 職場という逃げ場のなさ:ワンナイトの相手が同じ支店に異動してくるという設定は、私的な関係と公的な関係を切り離せない状況を生みます。信用金庫という職場の日常のなかで、二人の距離が業務の文脈と絡み合って動く点が見どころです。
- 志貴さんの「処女」という設定の効き方:しごでき美人係長でありながら処女であるという情報は、単なる属性ではなく、久我の偽装や接近の仕方に影響を与える要素として配置されています。経験値の差が関係性の力学にどう作用するかに注目です。
こんな人におすすめ
- ✅ 「好かれたい」という願望が、自分を偽る方向に転がっていく心理のねじれを追いたい方。
- ✅ 職場という逃げ場のない空間で、私的な関係がじわじわ滲んでいく距離感の変化を楽しみたい方。
- ✅ コメディの軽さとすれ違いの切なさが同居するオフィスラブで、偽装がいつ綻ぶのかハラハラしたい方。
正直に言うと、タイトルの「利息」って言葉がずっと引っかかってて。嘘には利息がつく、つまり放置するほど重くなる。久我の偽装も、志貴さんとの時間が積み重なるほど返済が難しくなるわけで……あ、これ考察じゃなくて単純に、二人がどう折り合うのか早く読めないかなって、そわそわしてるだけです。ダウナーを装う久我の素が出た瞬間、志貴さんがどんな顔をするのか。そこが見たい。たぶん、僕がこの作品を読み終えたら、しばらく余韻でぼんやりするタイプだと思います。





