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「痩せたい」から始まる、再会と溺愛の物語
お腹周りの肉を落とすためにジムへ入会した詩織。そこで再会したのは、高校の卒業式以来となる幼馴染の典くんでした。あの頃はちょっと陰キャ気味だった彼が、筋肉がついて大きくなり、別人のような姿で目の前に現れる——この冒頭の展開だけで、胸が高鳴らずにはいられません。
今は親が経営するジムでトレーナーとして働く典くんに、レッスンをしっかりしてもらえた喜びから、再会を祝して飲みに行く二人。そこで詩織がぽつりと明かす「痩せたい理由」とは、元カレにお腹の肉のことでフラれたという切ない過去。その話に幼馴染の彼が怒ってくれたことで、嬉しくなって飲みすぎてしまうのです。
彼の筋肉をべたべた触るうちに、いつの間にやら彼の素敵な部屋にいた詩織。予想以上にすごい筋肉の彼に、優しく攻められて——このままじゃ好きになっちゃいそう、と戸惑う一方で、高校の時の気まずい別れ方を思い出して「私のこと好きになってくれるのかな?」と不安になる。大人の恋愛の入口に立つ彼女の心情が丁寧に描かれていそうです。
幼馴染だからこそ生まれる、甘くて苦い距離感
本作の魅力は、なんといっても幼馴染という関係性にあります。高校の卒業式以来の再会ということは、長い年月を経ての邂逅。お互いの知っている姿から変わった部分と、変わらない部分が混在するからこそ、距離感に戸惑いながらも、昔の記憶がフラッシュバックするような感覚が味わえるのでしょう。
典くんは、今は親が経営しているジムでトレーナーとして働いています。陰キャだった頃の彼を知っている詩織からすれば、筋肉質でたくましくなった姿は「別人みたい」と感じるほど。それでも、レッスンをしっかりしてくれる誠実さや、元カレの話に怒ってくれる優しさは、あの頃と変わらない彼の本質なのかもしれません。
一方で、詩織が抱える高校時代の「気まずい別れ方」。この過去が物語に深みを与えていると感じます。単なる再会モノではなく、一度は切れた縁がどうやって結び直されるのか、あるいは彼の側にどんな想いがあったのか。筋肉トレーナーという新たな一面と、幼馴染という古い記憶が交錯するからこそ、二人の関係性に複雑な色気が生まれるのでしょう。
「痩せたい」に隠された、彼女の恋の起点
このセリフ、冒頭の時点で典くんの詩織に対する理解度の深さが滲み出ていると思いませんか。幼馴染だからこそ、彼女が痩せたいと昔から思っていたことを知っている。「痩せたいんだったよな」という言い回しには、久しぶりの再会なのに彼女のことを覚えている、という想いが込められているように感じます。
「もっと激しく動こうか」という言葉も、トレーナーとしての指導の文脈でありながら、その後に続く展開を予感させる甘い含みを持っているのが絶妙。この一文が、運動の汗と、別の熱が混ざり合う物語の始まりを告げているようで、読んでいるこちらまで体温が上がってしまいそうです。
痩せたい理由が元カレへの未練ではなく、トラウマからの自己変革だという点も、詩織の心情を複雑にしています。彼に守られた嬉しさと、身体を許してしまった後ろめたさと、そして芽生えつつある恋心。この引用の場面が、彼女の人生の転換点になっていく予感がしてなりません。
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