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「研修」という名の、甘くて危険な籠の中
大手製薬企業「アムール製薬」の薬品開発部で毎年行われる新人研修。その研修にはある秘密があるという。あらすじを読んだ瞬間、その言葉の裏に隠された意味に背筋がゾクッとしたのは私だけではないはずだ。
「失礼 研修期間中はモルモットだと思えと命令されているんでね」というセリフが示す通り、この研修では性関係の薬品が実験と称して新入社員に投与される。製薬会社という企業の論理と、人間の尊厳の境界線が曖昧になるこの設定は、まさにTLの王道でありながらも、一歩間違えれば背徳的な世界観に陥りかねない危うさをはらんでいる。
私はこの作品を読んで、あらすじの情報だけで心臓が高鳴るのを感じた。企業という巨大な組織が個人を「モルモット」として扱う冷徹さと、その中で芽生えるかもしれない感情の温度差。このギャップこそが、この作品の最大の魅力だと確信している。
キャラクターの魅力と関係性
あらすじから読み取れるのは、この言葉を放つ人物が薬品開発部に所属し、新入社員に対して「モルモット」という認識を命令として伝達している立場にあるということだ。
このセリフの主は、おそらく新人研修における指導者的な立場の人物であろうことが想像できる。しかし、その口調からは単なる指導者としての事務的な説明ではなく、どこか諦めにも似た冷めた響きが感じられる。「命令されているんでね」という言い回しには、自分自身もまた上司からの命令に従う立場であるという含みがあり、一方的な加害者ではなく、組織の歯車としての悲哀もにじんでいるように思える。
新入社員側の反応はあらすじには明記されていないが、この状況下で出会う二人の間に、恐怖から始まる関係性が構築されていくであろうことは容易に想像できる。薬品の効果によって身体が反応する中で、心はどう動くのか。私はその心理描写に、いちばん期待を寄せている。
「失礼」から始まる背徳の予感
この一文は、あらすじの中でも特に強烈なインパクトを放っている。「失礼」という前置きが、かえって丁寧な物言いの中に潜む非情さを際立たせている。謝罪の言葉を口にしながら、その後の言葉は一切の容赦を感じさせない。
「モルモットだと思え」という命令は、新入社員の人格を否定し、実験対象としての扱いを強要するものだ。しかし、その後に続く「命令されているんでね」という言い訳めいた言葉によって、この人物自身もまた何者かの命令に服従しているという構図が浮かび上がる。支配と被支配が入れ子構造になったこの設定は、企業社会のリアルな縮図としても読める。
このセリフが放つ冷ややかな温度と、そこから始まる物語への期待。私はこの一文を読んだ瞬間に、この作品の世界観に完全に引き込まれてしまった。たった一文でここまで心を掴まれる作品は、なかなか出会えないものだと思う。
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