📝 らぶカル TL小説
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「どこにでもいる」からこそ響く、逃れられない愛の暴力性
609ページの大ボリュームに、身分違いのカップルがこれでもかと詰め込まれた一冊です。収録作品を見渡すと、元帥閣下に保護された偽聖女、真の聖女に目覚めた宰相、貴族の家に迎えられた主人公を巡る二人のお兄様、公爵様に嫁いだ妻、伯爵に殺されて二度目の人生でも見つかってしまう主人公……。
どの物語も、ヒロインが「普通の女性」であるがゆえに、権力者たちの一方的で重い愛情に絡め取られていく構造が共通しています。現実には絶対に起こり得ない非日常の設定なのに、感情の機微はどこかリアルで、読んでいるこちら側の心までざわつかせるんです。
特に注目したいのは、あらすじの端々から匂い立つ「所有」と「快楽」の重なり合い。愛されているはずなのに、どこか逃げ場のない閉塞感。だからこそ、その先にある感情の揺れが活きてくるのでしょう。甘いだけじゃない、このじっとりした空気感がこの作品の真骨頂です。
権力者たちの歪な愛情と、抗えないヒロインの運命
収録作品の人物たちは、皆一様に立場が上です。元帥、宰相、公爵、伯爵、そして皇太子。社会的な地位も力も、ヒロインとは比べ物にならないほど隔たりのある相手たちばかり。そんな彼らが、なぜかヒロインにだけは異常なまでの執着を見せるのです。
たとえば「用済みになった(偽)聖女」という言葉からもわかるように、ヒロインは最初は都合よく扱われている存在。なのに、その価値を見出した権力者が「保護」という名の囲い込みを始める。このギャップがもう、たまらないんですよね。立場が上の人間ほど、一度固執すると手放さない。その執念が怖いほど伝わってきます。
また、家族関係を描いた作品では「愛の重すぎる二人のお兄様」という表現があります。血の繋がりがあるのか無いのかは明記されていませんが、この「重すぎる愛」という言葉には、兄妹の情愛を超えた何かが必ず隠されているはずです。心も体も奪われてしまうという一文からも、逃げ場のない濃密な関係性が想像できますよね。
「二度目の人生」という逃れられない因縁
「有能すぎるイケメン伯爵に殺された私は二度目の人生も彼に見つかって見事に快楽堕ちさせられました」という作品。タイトルだけで、もうすべてが語られています。一度目の人生で殺した相手に、二度目の人生でも出会ってしまう。そして、また堕ちていく。この設定の破壊力は凄まじいものがあります。
転生ものは数多くあれど、殺した相手と再会して快楽堕ちするというのは、なかなか衝撃的です。恨みや復讐があってもおかしくない関係性なのに、それでも抗えない快楽に堕とされていく。この理不尽さが、読んでいても心地よく感じてしまうのはなぜでしょうか。きっと、運命に抗えないもどかしさが、私たちの現実の恋愛にも通じる何かを持っているからかもしれません。
日常に潜む、オフィスの中の秘密の関係
「スパダリ上司の秘蜜の恋人〜冷徹部長のえっちな溺愛が止まりません〜」という作品では、ファンタジーから一転、現代のオフィスが舞台です。冷徹な部長が、実は溺愛する恋人にべったりで……という構図。身分差のファンタジー作品とはまた違った、身近でリアルな緊張感があります。
「秘蜜」という表記からもわかる通り、周囲に秘密にしている関係なのでしょう。冷徹な態度とのギャップが、読者の心を掴んで離しません。仕事はできるのに、恋愛になると独占欲が前面に出てしまうスパダリ。こういうギャップ萌えは、現実の世界にも置き換えやすいからこそ、想像が捗ります。あなたの職場にも、こんな部長がいたらどうしますか? なんて、つい妄想してしまうのです。