📝 らぶカル TL小説
発売日: 2026/09/19 | 著者: ルクラ | イラスト: むぼすけ | サークル: ルクラのTL図書館 | 374P
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「軽いと噂の騎士様」って、その触れ込みだけで既にじわりと来るものがあるわ。噂と実像のズレを、お見合いの一場面から静かに崩していくんだろうな……って予感がして、もう胸の奥が落ち着かないの。
噂と本質のあいだで、静かに崩れていく距離感
舞台は、魔獣討伐・管理を主な職務とする『第二魔術士団』。その第三部隊に所属するシェリルは、少数精鋭の部隊で副隊長を務めています。戦うことが好きで、相棒の魔法銃を何よりも大切にする一方、自由人で少々トリガーハッピーの気もある人物。そんな彼女が、ある日宰相に呼び出され、お見合いの場へと差し出される——というのが物語の入口になります。
相手は、軟派で女性関係の付き合いが派手と噂される騎士カイエン。28歳、第一騎士団第二部隊隊長。治安維持の要である『第一』の騎士として日夜勤勉に働きながら、派手な見た目のせいでやっかまれ、事実無根の噂を流され続けてきた人物です。噂と実像のあいだに横たわる距離を、お見合いという非日常の場でどう埋めていくのか。そこが読みどころのひとつになっています。
事実無根の噂を流され続けてきた人、という背景がもうね……。派手な見た目で判断される側の疲労感って、静かに滲むものなのよ。そこにシェリルがどう触れるのか、想像するだけで夜更かしが捗りそう。
「違ったようで――」の一文が連れてくるもの
その男は、軟派で女性関係の付き合いが派手と噂の『カイエン』だったが、 どうやら抱いていた印象とは、違ったようで――?
この一文の強さは、否定も肯定もしていないところにあるのよね。噂を鵜呑みにしていたわけではないけれど、実際に会ってみたら印象が違った——その「違った」の中身を、あらすじはあえて明かしていません。だから読み手は、お見合いの場での二人のやり取りを、行間から丁寧に拾っていくことになる。
しかもカイエンは、自分を持っているしっかりとした女性が好きな人。最初はお見合いに乗り気ではなかったと明記されている。その不承不承の姿勢が、シェリルの対応ひとつでどう揺らぐのか。噂の鎧が一枚ずつ剥がれていく過程は、派手な展開ではなく、視線や言葉の選び方といった小さな描写に宿るはずで、そこに静かな熱量を感じるのよね。
「あっさりとスパダリ化してしまう」って、その速度がもう……。惚れた側の自覚と、惚れられた側の戸惑いが噛み合っていく瞬間って、じわじわ来るのよ。契約や身分差の裏に潜む執着、そういうのがお好きな方には、たまらない予感がするわ。
シェリルもまた、初体験は興味本位で散らし、それ以降は戦いで高ぶった時だけ娼館を利用してきた人。お付き合いの経験は無し、というのが本当に効くのよね。恋愛の手順を知らない大人が、感情の順序を後から追いつかせていく——その不器用さと、噂の騎士様の「愛が重い」がどう絡むのか。374P、9.5万字という文庫本サイズの厚みで、じっくり浸りたい一冊だわ。





