📝 DMM.com BL小説
音のない世界と、音を生業にする男——すれ違うようで重なっていく「三重奏」
本作は、プロのファゴット奏者として活動しながらも決して楽ではない暮らしを送る四十路独身の篠宮徹と、銀座の手芸店・東京クラフトセンターで店番をする耳の聞こえない青年・戸谷幸里(ユキ)の交流を描いたBL小説です。篠宮は楽器部品の材料調達のためにこの店を利用しており、そこでの出会いが物語の発端となります。
ある日、ふたりは近くのコーヒーショップで偶然再会し、それから連絡を取り合う仲へと変わっていきます。半年あまりの交流が続いた頃、突然の東京クラフトセンター閉店の報せが届く。ここで篠宮がどう動くのか——あらすじは静かにその分岐点で切られており、関係性の重さと選択の予感だけが残されます。
収載されるのは冒頭作「掻き出したいこころ」のほか、ユキの自認する内面を描いた短編「微弱動」、そしてユキの同僚イトちゃんとの対話を通して〈ないものねだりたち〉を投影する表題作「三重奏」。三つの物語がそれぞれ異なる角度からふたりの関係と内面に光を当てる構成です。音を生業とする男と、音のない世界に生きる青年。その非対称性が、静かな緊張と引力を生んでいます。
Q. 篠宮とユキはどのようにして出会ったのですか?
A. 篠宮が楽器部品の材料調達のために銀座の手芸店・東京クラフトセンターを利用しており、そこで店番をしていたエプロン姿の店員がユキでした。その後、近くのコーヒーショップで偶然再会したことをきっかけに、連絡を取り合う仲へと発展しています。最初の接点はあくまで店と客という関係でしたが、偶然の再会がふたりの距離を縮める転機となっています。
Q. ユキはどのような人物ですか?
A. 東京クラフトセンターで店番をしているエプロン姿の店員で、耳の聞こえない青年です。あらすじではユキの自認する内面を描いた短編「微弱動」が収載されていることが示されており、外から見える姿と内面にギャップを抱えていることがうかがえます。同僚のイトちゃんとの対話を通して〈ないものねだりたち〉の話が展開する表題作「三重奏」でも、ユキの内面が投影される構成です。
Q. 「三重奏」というタイトルにはどのような意味がありますか?
A. 表題作「三重奏」は、ユキの同僚イトちゃんとの対話を通して〈ないものねだりたち〉の話を投影する短編として収載されています。冒頭作「掻き出したいこころ」、ユキの内面を描く「微弱動」、そして表題作と、三つの物語がそれぞれ異なる視点から登場人物の内面や関係性を描く構成となっています。音楽用語である「三重奏」が、三編の物語とふたりの関係にどう重なるかは、読んで確かめるべき部分です。





