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発売日: 2026/08/03 | サークル: 境界熱 | 103P
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戸籍に刻まれた一文字が人生の天井になる——その設定だけで惹かれる。私が15年追い続けた“関係性の重さ”の究極形が、ここにある気がする。どうやら沼が深い…。
制度として身体を規定する「C」の世界
本作の舞台は、男の体に女の器官を持つ「カントボーイ」が制度化された世界。戸籍上の区分記号に人生を縛られた桐生リョウは、ジェンダー社会学を学ぶ21歳の青年です。自らを研究対象とする論文を構想していた彼が、全く別のかたちで「研究」の標的にされる——その皮肉が冒頭から強く響きます。
六月のある午後、路上で厚生管理局の巡回検査員・須藤に拘束されます。「検査」の名目で衆人環視の中に身体を固定され、見知らぬ男たちの欲望の対象とされる体験。排卵期の受胎率87.3%という数字が示すのは、これが暴行の延長線上ではなく、制度の裏面に位置する計画的な侵害行為であることです。
三週間後、届いた通知は「妊娠陽性」。ここから先、あらすじには「同居後の毎晩」という日々が記されています。加害者であるはずの須藤との関係性がどのように変化していくのか——その問いそのものが、本作の核心になるでしょう。
受胎率87.3%という数字が残酷すぎて。感情論を排して提示される確率の重さが、逆に世界観のリアリティを支えている。私としては、ここで既に持っていかれる。
見どころ
- 戸籍記号として可視化される差別構造:カントボーイの地位の低さが「C区分」という静かな仕組みで表現されています。リョウの知性を無視する暴力の暴力的なまでの一方的さが、制度そのものへの問いを投げかけます。
- 「検査」として遂行される公開凌辱:衆人環視の中で行われる行為が、周囲の男たちにとっても「検査」として受理される世界の不気味さ。須藤の淡々とした態度が浮かび上がるほど、読者はこの状況の異常性を意識させられます。
- 妊娠後の関係性の変化:同居後の夜々が「調教」と呼ばれる時点で、そこにあるのは慰めではなく支配の徹底です。しかし、侵害でありながらもどこか一途な執着を感じさせる——加害者と被害者の境界線が揺らぐ展開が待っているようです。
こんな人におすすめ
- ✅ 「C区分」という戸籍設定に背筋が凍るような世界観の魅力を感じる方
- ✅ 衆人環視の中で行われる「検査」の名の下での侵害行為に、倒錯的な興奮を覚える方
- ✅ 加害者との関係性が少しずつ変質していく過程を、じっくり読みたい方
私はこれまで、どんな作品でも「なぜこの関係性が成り立つのか」を考えずにはいられない。本作はその問いに正面から答えてくれる。制度として確立された差別構造と、その中で芽生えてしまった歪な繋がり。誰が加害者で誰が被害者か、単純に割り切れないからこそ深い。加害者と被害者の境界線が揺らぐ瞬間を、私は行間から読み取りたい。こういう作品を、本当に待っていた。
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