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日常の中に潜む、逃げ場のない執着の物語
数年ぶりの帰省。実家が改装中という何気ない事情から、幼馴染の家に一晩だけ泊めてもらうことになった主人公。久しぶりに会った幼馴染はどこか穏やかで、懐かしい思い出話に笑い合った翌朝――玄関の鍵は静かに、そして確かに閉ざされていた。
『もう東京へは帰さない』。穏やかだった幼馴染は、上京してから今日まで一度も想いを消せなかったと打ち明ける。幼い頃から知っている笑顔のまま、鍵の回る音だけが冷たく響く。逃げ場のない客間で、抵抗する体はいつしかほどけていく。
窓の外には見慣れた地元の景色。知っている人も多いこの町で、自分が今、誰にも知られずに閉じ込められているという事実が、絶望と背中合わせの甘い熱をじんわりと運んでくる。優しい手つきと甘い言葉に絡め取られ、抵抗する体は少しずつ蕩けていく。帰りの新幹線は、もう二度と乗れないのかもしれない。
「待っていた」という言葉に宿る、執着の重み
この一文が持つ怖さは、言葉と行動の間に横たわる静かな落差にある。「ずっと待ってたんだ」という告白は、本来なら甘く切ないもの。なのに続く「もうどこにも行かせない」には、一切の相談の余地がない。愛されているはずなのに、逃げ場を奪われているという事実がぞくりと背筋を這う。
そして何より胸を締め付けるのが、「幼い頃から知ってる笑顔のまま」という描写だ。見知った顔だからこそ、そこに潜む執着に気づけなかった。鍵の回る音だけが冷たく、その場の空気を現実へと引き戻していく。
この一行で、物語全体のトーンが決まる。帰省という何気ない日常が、非日常の檻へと切り替わる瞬間――その境界線に立ったヒロインの戸惑いが、読む者の肌にまで伝わってくるようだ。
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