📝 DLsite TL小説
▶ 『八年前に私が打った小面しか掛けない能楽師に面の向こうは俺が見ると囲われ、鏡の間で視界を奪われたまま孕むまで注ぎ込まれて溺愛される面打ち師の話♡♡♡』の試し読み・お得なセール状況をチェック!
見えないまま、見られている――面の内と外で入れ替わる関係
本作は、面打ち師の榎戸環と能楽師・神島圭吾の八年越しの関係を描くTL小説です。環が二十二歳のときに初めて世に出した小面を、圭吾が舞台で掛けた。以来、圭吾は他の面を掛けていません。一方の環は、打っても打っても自分で納得できず、そのつど古物商へ流す職人になっていました。八年目の秋、圭吾から稽古の申し入れが届くところから物語は動き出します。
約定はひとつ――「見る側」の線が最後まで入れ替わらない
二人の間で交わされる約定は、掛かり具合を直すために打った者が夜の鏡の間へ通うこと。そして、面をかけている間は見えるものを決めるのが圭吾、面を外している間は見る側が環に戻るというものです。この線は最後まで入れ替わりません。主導権の所在が冒頭で明示され、その枠の中で関係が深まっていく構図が、本作を他の作品と分ける軸になっています。
米粒ほどの眼の穴と、反響する自分の声
鏡の間で環は、自分が打った小面を掛けさせられます。眼は米粒ほどの穴しかなく、足元も相手の顔も見えません。見えないまま歩かされ、見えないまま座らされ、圭吾の手だけが位置を教える。声を出せば面の内側で反響して自分に返ってくる。視界を奪われた状態で、触れられることと声の反響だけが手がかりになる場面が、本作の独特な緊張感を生みます。
八年ぶんの試作が、鏡の間の奥に掛かっていた
稽古は夜ごと長くなり、面をつけたまま帯を解かれ、板の上で開かれ、中に出される夜が重なっていきます。やがてある夜、環は鏡の間の奥の壁を見る。八年ぶん、環が納得できずに古物商へ流した試作の面が、面袋に日付の札をつけて全部掛かっていた。買い取りの控えには、どの紙にも神島圭吾の名がある。環が手放したものを、圭吾が静かに集めていたという事実が、物語の重心を大きく動かします。
最後の夜、面が外されるとき
最後の夜、圭吾は稽古の途中で面を外します。灯りと、圭吾の顔が一度に入ってくる。環は面を受け取り、面袋に納め、紐を掛ける。圭吾の手が上から端を引いて、結び目を締める。視界を取り戻す瞬間と、面を納める所作が重ねられ、二人の関係がどこに着地するのかが静かに示される場面です。
こんな読者に合う作品
- 目隠しや見えない状況での緊張感を、じっくり味わいたい方
- 主導権の所在がはっきりした関係を、約定という形で読みたい方
- 長い年月をかけて積み重なった執着を、静かな描写で受け取りたい方
- 身分や立場の差ではなく、職人と演者のあいだの距離を楽しみたい方
全76ページ。R18作品で、登場人物はいずれも十八歳を超えた大人として描かれています。能や面打ちの描写は創作であり、実在の流儀・団体とは関係ないと明記されています。
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