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「年上受け」だけを集めた短編集、三つの関係性の崩れ方
本作は、年上の男性が年下の相手に組み敷かれる展開を集めたBL小説の短編集です。収録されているのは、自称タチの後輩に翻弄される話、常識が変化した世界で後輩に弱みを握られる話、社畜の先輩が後輩の営業マンに願望を叶えられる話の三編。いずれも受け手が年上で、攻め手が年下という構図で統一されています。三編それぞれで「崩れるもの」が異なる点が、この短編集を一本の企画として成立させています。
一編目:自称タチの先輩が、経験豊富な後輩に自認をひっくり返される
一編目『タチだと思っていた平凡が、後輩に分からセックスでメス堕ち強○連続絶頂させられる話』の主人公は、自称タチの吾妻龍之介。後輩の榊原葵のことが好きで、妄想の中では自分がリードする側だと信じています。しかし実際にその機会が訪れても上手くリードできず、気づけば榊原の膝の上に乗せられていた、というのが公開されているあらすじです。
榊原は経験豊富な攻めで、龍之介をいつ自分のものにできるかと様子を窺っていた側。龍之介が自認タチだったことには気づいておらず、経験がないのに「これくらいやったことあるし」と虚勢を張る龍之介に少し苛立って、性急に事を進めてしまったとされています。攻め側にも後日反省があると明かされている点は、単純な力関係では終わらない関係性の予感として受け取れます。
二編目:常識が変わった世界で、後輩に弱みを握られる
二編目『毎日1時間乳首を弄るのが当たり前になった世界』は、10年前から徐々に「毎日1時間乳首を弄るのが当たり前」という風潮に変わっていった世界線を舞台にしています。電車内での行為が痴漢とされない扱いになり、カップルの間でも行為のスパイスとして使われている世界で、アラサー会社員の「俺」はこの風潮にうんざりしながら、自分では触っても気持ち良くないとしてその習慣を持っていません。
そんな「俺」の前に、高校時代の後輩である鏑木が現れます。鏑木は忘れられなかった先輩を見つけ、興信所に依頼して弱みを握ったうえで近づいてきた人物。「自分の乳首を全然弄っていない」ことが周囲に知られたらどうなるか、と脅してくる展開が公開されています。鏑木自身は習慣を守っているものの、乳首では感じないため虚無を感じながらの作業でしかない、という設定も明かされています。
三編目:社畜の独り言から始まる、願望通りの責められ方
三編目『「泣いても責められ続けたい」と呟いたら可愛い顔の後輩に「僕がしてあげますよ」と願望通りの責め方をされる話』の主人公は、ブラック企業の社畜事務員・朔太郎。十五連勤目のサービス出勤中にぼうっとしていたところ、ひとりだと思って「誰でも良いから泣いても止めずにめちゃくちゃに責めてくれねぇかなぁ」と呟いてしまいます。それを後輩の那由他に聞かれてしまい、営業部エースの那由他が「なら僕がしてあげますよ」と囁く、という導入です。
朔太郎は無理矢理されるシチュエーションに憧れがありながら、機会がなく童貞処女。那由他は可愛い顔と愛嬌で契約を取る営業部エースで、朔太郎のことを機会があれば自分のものにしたいと思っていたとされています。願望を漏らした側と、それを叶える形で近づく側。偶然聞いてしまった独り言が、二人の関係の入口になっています。
この短編集が合う読者
- 年上の男性が年下の相手に押される展開を、関係性ごとに描き分けて読みたい方
- 受け側の自認や立場が、攻めとの接触で少しずつ崩れていく過程に関心がある方
- 攻め側にも事情や反省やねじれがあり、一方的な力関係で終わらない話を求める方
- 一冊の中で異なる世界観・設定を短編として味わいたい方
三編はいずれも、受け手が年上でありながら、攻め手の年下の相手によって関係の主導権が動いていく構図を持っています。自認、常識、願望という異なる足場が揺らぐ三編を、まとめて読める短編集です。DLsite専売の作品です。
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