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六年間の片想いが、バーのカウンターで動き出す
本作は、繁華街の外れの小さなバーを舞台にしたBL小説です。雇われ店長を務める葉山律(27)は、男のセフレを何人も抱えながら本気の恋をしたことがない遊び人。そんな律のカウンターの端に、六年間、週に一度ジンジャーエールを頼んで律の恋愛話を黙って聞いていく大学の先輩・熊谷大河(30)が座っています。語り手の内面ではなく、この「六年間」という時間の積み重なりが、作品の重心になっています。
「俺にしろ」——関係の主導権が入れ替わる瞬間
ある夜、しつこく絡むセフレ客を「閉店だ」の一言で追い返した大河は、律の話を初めて遮り、六年間の想いを告げます。律は大河の目の前でセフレの連絡先を消していく、というのが公開あらすじで示される転換点です。「抱く側でも抱かれる側でも、どっちでもいい。お前が選べ」と選択を委ねられ、律が選ぶのは「抱かれてみたい」。いつも抱く側だった男が、初めて受け側に回る——この立場の反転が、本作を他と分ける軸になっています。
無口な筋肉トレーナーという攻めの造形
熊谷大河は、百九十センチを超える大柄な身体に分厚い胸板と太い腕を持つパーソナルジムのトレーナー。無口で穏やか、低い声の短いタメ口という人物像です。饒舌に想いを語るのではなく、静かに隣に座り続けた六年間という設定が、この攻めの説得力を支えています。一方の律は、明るい茶髪にピアス三つ、誰とでも三分で打ち解けるバーテンダー。自分の店では一滴も飲まない主義という職業人としての一面と、本気になって置いていかれるのが怖いという内面を併せ持つ人物として描かれます。
「初めて受け」を丁寧に描くという読みどころ
物の少ない大河の部屋の大きなベッドで、律は知らなかった快感に溺れていく——というのが公開されている展開です。攻めが絶倫で極太という設定に加え、受け側が初めてであることを、相手が「何倍も丁寧に」返すという形で描く点が、本作の特徴的なところ。溺愛と快楽堕ちの気配を、静かな関係性の積み上げとセットで味わいたい読者に向いています。六年間の片想いが実る過程と、立場が入れ替わる瞬間の緊張感を、両方楽しめる作品です。
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