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失われた初恋が呪いのように変貌する――『秘め婿』が描く執着と自己犠牲
本作は、芹澤知先生の話題のBLコミックス『秘め婿』を完全音声化したドラマCDです。コミック第1巻の物語に加え、芹澤先生原案による完全オリジナルエピソード『再会の予感』も収録されるという、ファンにはたまらない構成となっています。
あらすじの核心にあるのは、幼馴染・シキを祭りの贄に喪った少年ヤマトの激情。告げなかった恋心はやがて強迫にも似たものへと変貌し、男子禁制の宮中へと彼を踏み込ませます。国を統べる王にするため、人ならざる力を受け継いだシキ。その生存を知ったヤマトが選んだ道は、想いを殺し、従者としてただ側で守り抜くことでした。
この構造は、一言でいえば「所有」と「献身」の危うい同居です。手に入れたい想いと、彼の王としての在り方を守らねばならぬという自己否定。文学的に見れば、とても繊細で倒錯的な関係性を孕んでいると言えるでしょう。
男子禁制の宮中へ――「告げられなかった恋心」が生んだ執念
ヤマトの行動原理は、シキを喪った後悔と、告げることのなかった恋心です。この「告げられなかった」という点が非常に重要で、彼の感情は成就を望む以前に、後悔と罪悪感で覆われています。だからこそ、その執着は歪な形で爆発し、男子禁制の宮中という境界を踏み越えるのでしょう。禁忌を破る行為と、想い人に従者として仕えるという身分の隔て。この二重のねじれが、本作の緊張感を生んでいます。
王として生かされたシキ――人ならざる力と運命の重さ
シキは単なる幼馴染ではありません。国を統べる王とするために人ならざる力を受け継ぎ、生かされていた存在です。つまり、彼自身の意志を超えた大きな運命の枠組みの中に置かれている。ヤマトはそんなシキを守ると誓いますが、その誓いは同時に、シキを王としての呪縛に縛り続けることでもあります。愛と支配の境界が極めて曖昧なまま、物語は進んでいくのでしょう。この複雑な芯を、前野智昭さんと立花慎之介さんの演技がどう音声で表現するのか、想像が膨らみます。
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