円い夜空

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円い夜空

発売日: 2026/07/31 | 著者: 冬木真魚

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紫苑

冒頭の設定だけで心を持っていかれました。不眠症の生徒会長と、初めて会ったはずなのに心を揺さぶる転校生。もう、沼が深い…。この出会いがどう転がるのか、想像しただけで胸が詰まります。

眠れない夜に響く、運命の足音――『円い夜空』が描く出会い

全寮制の男子校・聖ステファノ学院。良家の子息たちが集う中高一貫のこの学院を舞台に、“いばら姫会”と呼ばれる生徒会と、その仲間たちの学院生活が描かれます。生徒会長・茨木馨と副会長・御堂廉を中心とした本作は、シリーズ第1巻として、表題作『円い夜空』をはじめ、『君はロックを聴かない』『Peace sign』『Flowerwall』、そして番外編『フローライト』を収録した連作中・短編集です。

馨は幼い頃から不思議な夢を見続けています。その夢は成長するにつれてリアルになり、苦痛を伴うものへと変化。慢性的な睡眠不足に悩まされる馨の姿は、強くあろうとする者に忍び寄る孤独を感じさせます。そんな馨の前に、高等部二年生の始業式の日、海外から一人の転校生が現れます。

途中編入の難しい学院に現れた本条壮介。初めて会ったはずのその姿を見るだけで、名前を聞くだけで、馨の心は揺さぶられます。運命とも呼べるこの出会いが、不眠の日々にどんな変化をもたらすのか。謎めいた夢の存在も含め、物語の行方が気になる構成です。

紫苑

「初めて会ったはず」という言葉が、逆に運命の存在を強く感じさせる。馨の揺れる心が、行間からあふれ出てきそうですね。

初めて会ったはずなのに――運命の予感を掬い取る一文

何故だか馨は、初めて会ったはずの本条の姿を見るだけで、その名前を聞くだけで、心が揺さぶられて――。

「初めて会ったはず」という冷静な認識が、かえってこの感情の異常さと確かさを浮かび上がらせます。論理では説明できない、理由もわからない心の動き。姿を見るだけで、名前を聞くだけで、経験が積み重なるにつれ、馨の感情はより深く鮮明になっていきます。

そして「心が揺さぶられて――」の後に置かれたダッシュ。この余白は、馨自身にも言葉にできない衝動を雄弁に語っています。作者の選ぶ語彙と句読点の使い方が、心理描写の精度を高めている好例です。この一文だけで、この作品の文体の密度を予感させるのです。

紫苑

この作品は、あらすじだけで私の好きな要素が全部詰まっている。夢に苛まれ眠れない夜を過ごす馨と、彼の前に突然現れた壮介。運命の出会いが、揺らぎ始めた馨の世界をどう変えていくのか。作者の比喩表現と心理描写の精度に、私はもう期待で震えています。これは金曜の夜、エナジードリンク片手に、存分に味わうべき一冊ですね。
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