彼氏が欲しかった

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彼氏が欲しかった

発売日: 2026/08/10 | 著者: たうみまゆ

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桃香

「わかりみが深い……。妻に殺されてタイムリープって、もう出会った瞬間から目が離せないわよね」

二度目の人生で、彼の「未来」を変える——

ゲイであることを隠して妻と結婚したものの、その秘密が露見して命を落とした四十路の男・高井颯太。彼が大学時代にタイムリープしてやり直す人生を描いた物語です。一度目は「普通」を演じることで自分を殺してきた高井が、今度は偽りのない道を歩み始めます。

そんな彼の前に現れるのが、ウリ専をしていたり首に絞め痕があったりと、明らかに危険な香りのする同級生・氷室。一度目の人生では暴行罪で逮捕され除籍退学という未来を辿った男です。高井はその未来を阻止しようと動き出しますが、友人から「氷室のこと好きなん?」と言われてしまう——。その言葉を全力で否定するものの、彼自身も気づかない感情がそこにはあるのかもしれません。

タイムリープものの醍醐味は「知っている未来」と「変えたい現在」の狭間にある緊張感。高井は氷室の未来を知っているからこそ、彼に近づかずにはいられない。その距離感が、友情なのか恋愛なのか、あるいはもっと別の執着なのか——。読者としてはその答えが見たくてページをめくる手が止まらなくなる作品です。

桃香

「一度目の人生で誰にも言えなかった『好き』が、二度目はどう形を変えるのか……そこが気になって仕方ないのよね」

過去を知る男と、未来を知る男の交差

高井颯太は四十路で人生を終えた経験を持つ、いわば「大人の視点」を持った大学生です。自分を偽り続けた過去があるからこそ、今度は正直に生きたいと思っている。その姿勢が、氷室という危うい存在への向き合い方にも影響しているのでしょう。

一方の氷室は、ウリ専という裏の顔を持ち、首に絞め痕があるなど、すでに壊れかけている印象です。暴行罪で逮捕される未来があるということは、彼の抱える闇は相当深い。でも、高井がその未来を知っているということは、彼に手を差し伸べられるのは高井だけということになります。

二人の関係はまだ「同級生」の枠を出ていないようですが、高井が氷室の未来を変えたいと強く思っている時点で、すでに特別な感情が動き始めていると見ていいでしょう。友人・槇尾の「好きなん?」という言葉は、高井自身が気づいていない感情を引き出すきっかけになるのかもしれません。

桃香

「『違う』って否定すればするほど、実は……ってやつよね。この焦り方がたまらない」

Q. 高井はなぜ氷室の未来を変えようと思ったのか?

A. 一度目の人生で氷室が暴行罪で逮捕され、除籍退学という未来を辿ったことを高井が知っているからです。自分自身もゲイであることを隠して偽りの人生を送り、結果として命を落としている高井は、氷室にも同じように「このままだと壊れてしまう未来」があることを知っています。だからこそ、放っておけないのだと考えられます。

Q. この作品はどのようなテーマを描いているのか?

A. タイムリープによる人生のやり直しを軸に、自己偽装の末路と、正直に生きることの難しさを描いています。高井は一度目の人生で「普通」を演じることで自分を殺してきましたが、二度目は違う道を選びます。また、氷室という危険な存在との関わりを通じて、他者を救うことと自分自身の感情の間で揺れる姿も描かれています。

Q. 氷室という人物の魅力はどこにあるのか?

A. ウリ専をしていたり、首に絞め痕があったりと、一見すると近寄りがたい危険な雰囲気を持っています。しかし、その裏側には何か深い事情や傷があることが匂わされており、読者の保護欲を刺激します。また、一度目の人生で暴行罪という重い罪を犯していることが示されており、単なる「かわいそうな子」ではない複雑さが魅力です。

桃香

「こういうの、めちゃくちゃ刺さるのよね。だって『好き』って言葉の前に、まず『助けたい』って感情が来るじゃない? その境界線が曖昧なのが一番沼るのよ」

正直に言うと、この作品は私のツボを的確に突いてきます。タイムリープで人生をやり直す設定はよくありますが、その目的が「自分の幸せのため」ではなく「誰かを救うため」であるところが、もう堪らない。しかも、その相手がウリ専で首に絞め痕があるような、明らかに闇を抱えた男。王道の恋愛じゃなくて、もっと泥臭くて、もっと切ない感情がそこにはある気がします。

高井が「氷室のこと好きなん?」と聞かれて全力で否定するところも、その否定の仕方が激しければ激しいほど、実は心の奥で何かが動いている証拠なんだろうなって。彼は一度目の人生で恋愛をまともにしてこなかったからこそ、自分の気持ちに名前を付けるのが下手なのかもしれません。その不器用さが、また愛おしい。

氷室の未来を変えようと動き出す高井が、最終的にどんな選択をするのか。そして、氷室自身が高井に対してどんな感情を抱いているのか。収録されている11〜16話で、その答えが少しずつ見えてくるはずです。電子限定の描き下ろしも含めて、この作品の空気感をたっぷり味わいたいですね。

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