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種族を越えた”所有”の物語──人魚が仕掛ける濃密な罠
本作は、両親を亡くした苦学生・涼波海翔が、罠にかかっていた幼い人魚を「ちび」と名付けて自宅で飼い始めたことから始まる、種族を越えたBLです。海翔の日常は、バイトに明け暮れる現実的なもの。そこに突如、ファンタジーの住人である人魚が転がり込んでくるわけですが、その出会い方がまた「罠にかかっていた」という、一方的な助けの形なのがポイントですね。
しかし、その純粋な善意が、後々とんでもない形で返ってくることになります。毎晩、美丈夫な人魚に抱かれる淫夢に悩まされるという、現実と夢の境界が曖昧になる展開。そして、夢の中の人魚にそっくりな男性が、海翔のバイト先の常連客として現れる。この「夢と現実のリンク」こそが、この作品の最大のミステリーであり、官能の入り口になっていると睨んでいます。
合本版には、描き下ろし漫画4ページが収録されているのも見逃せないポイント。第7巻から第12巻までの濃厚な関係性の積み重ねを一気に読めるのは、物語の熱量を途切れさせずに味わいたい私のような読者には嬉しい構成です。種族を超えたロマンチックBLという触れ込みですが、その裏に潜む執着と支配の匂いを、私はしっかり嗅ぎ分けたいと思います。
天真爛漫な苦学生と、拗らせ系絶倫人魚の関係性
主人公の涼波海翔は、両親を亡くした苦学生。バイトに明け暮れる日々を送る、現実的で健気な性格であることがうかがえます。そんな彼が、罠にかかった幼い人魚を「ほっとくわけにもいかず」助けるところが、彼の善良さを象徴していると言えるでしょう。しかし、この何気ない優しさが、自分を縛る鎖になるとは夢にも思っていないのでしょうね。
一方の人魚は、「拗らせ系絶倫」という、何とも形容しがたいワードで表現されています。幼い姿で現れながら、海翔の夢の中では美丈夫な姿で抱くという、ギャップも特徴的です。現実の「ちび」と夢の中の美丈夫、そしてバイト先の常連客。三者の姿がどのようにリンクしていくのか、その謎解きも物語の醍醐味でしょう。
この作品の面白さは、「助けた」という善意の上に成り立つ関係が、いつの間にか「所有」の関係にすり替わっていく過程にあると思います。海翔の人魚への接し方は、まさに「飼う」という表現がぴったり。しかし、夢の中で反転し、今度は海翔が人魚に「抱かれる」存在になる。この支配関係の揺らぎこそが、濃密な純愛の裏側に隠された執着の正体なのではないでしょうか。
Q. 海翔はなぜ人魚を自宅で飼うことにしたの?
A. あらすじによると、いつものように海辺を歩いていると罠にかけられた幼い人魚と出会い、「ほっとくわけにもいかず」自宅で飼うことにしたとあります。両親を亡くし、バイトに明け暮れる苦学生である海翔の、善良な性格が伺える行動です。
Q. 海翔が見る淫夢の内容とは?
A. あらすじには、美丈夫な人魚に抱かれる淫夢に、毎晩悩まされるようになったと記載されています。この夢の中に現れる人魚が、後にバイト先に常連客として現れる男性にそっくりであることが、物語の大きな謎の一つとなっています。
Q. バイト先に現れる男性は、夢の中の人魚と同一人物なの?
A. あらすじでは、海翔のバイト先に、夢の中の人魚にそっくりな男性が常連客として現れるとされています。「そっくり」と表現されているため、同一人物かどうかは明確に断定されていません。この男性の正体と、夢との関連性が物語の鍵を握っていると考えられます。
